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2012-09-11 11:30

松井啓氏の「家庭における主婦の役割を再認識しよう」について考える

中山 太郎  団体非常勤職員
 9月9日付の松井啓氏の本欄への投稿「家庭における主婦の役割を再認識しよう」について、意見を述べる。松井氏が述べる「家庭の主婦の役割の重要性、家族内の親子や兄弟のきずなの大切さ、子育ては社会の基盤を作る重要な任務(権利であり、義務)」などについて、心より賛成する。ただし、もしこれが女性からその社会進出の機会を奪うものであるならば、それには反対だ。日本のみならず、アジアにおいては、松井氏のいう「古きよき時代、家庭には母ちゃんとばあちゃんが頑張っていた」というテーマは、永遠のテーマである。中国の古典『紅楼夢』のテーマでもある。毛沢東が、このブルジョワ趣味の古典小説の一読を紅衛兵たちに勧めたのは、歴史の皮肉屋、毛沢東の複雑な一面をうかがわせるエピソードである。欧米社会の非欧米文化へのステレオタイプな色眼鏡の偏見が見落としているところだ。

 英国の著述家であり、婦人解放運動の先駆者でもあるメアリ・ウォルストンクラストが「女性には(男性とは違う)別の義務があるかもしれない。しかし、それは人間としての義務であり、その遂行を規制する原理は同じだ」と述べるように、人類の長い苦闘の末に、今の男女平等社会の枠組みができている。この流れに逆らうやに見える復古主義的見方は、不毛な動きだ。

 欧米人が、日本へ来てビックリするのは、先進国日本における女性の社会進出のレベルの低さである。Temple大学のロバート・ジュラック教授は、「JAPAN TIMES」などに論評を発表して「日本の有名大学の学長に、女子大を除き、女性が就任することはまずない。政治、企業、諸団体において役職者に占める女性の割合は、先進国の中できわめて低い。優秀な日本女性は、仕事の充実を求め、外資、国際機関などへ逃げる。日本は、ただでさえ人材不足の中で、優秀な人材を活用できず、ライバルの外資に取られ、二重の損をしている」と皮肉っている。海外からの大々的な人材導入などは、夢のまた夢である日本において、これからの労働力不足社会をいくらかでも切り開くために、有能な女性の活用は、残された道だ。

 具体的には、北欧などではすでに実施されていることだが、企業の上場の条件に「役員の4割以上は女性でなければならない」などの、抜本的な対策を立てるべきだ。今まで男性優位の座に胡坐をかいていた男性たちも、身を引き締めなければならなくなる。中国、韓国も、「反日」といわれながら、「近代化」で先に進んだ日本社会をしっかりと見て、真似している。かって、男と女で天を支えるとして、女性登用を計っていた中国においても、日本を真似て、女性登用のレベルは低くなっている。それでも、アメリカ人に言わせると、まだ日本よりはましだという。社会で真の経験を積んだ女性たちが増えれば、ハンサムだからと言うだけで政治家が票を集める現象も少なくなり、長い目で見て足腰のしっかりした日本を再生することにつながると考えます。
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