国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2012-06-07 18:39

限界を克服する力を大事にすべき

船田 元  元経済企画庁長官
 最近の日本経済新聞の中で、全く分野の異なる領域ではあるが、奇しくも同じ問いかけをしている二つの出来事に出会った。そのテーマはいずれも「限界を克服する」ということである。ひとつは「左手のピアニスト」と称されて絶賛されている、舘野泉さんの話である。それまで国内外で第一線のピアニストとして活躍していた舘野さんが、10年前突然海外で脳溢血に見舞われ、右半身不随となってしまった。一時はピアノを弾くことをあきらめかけたというが、ピアノを弾きたいという希望が捨てきれず、左手だけでピアノを弾き始めた。

 左手だけのピアノ曲は世の中にひとつもなかったため、国内外の著名な作曲家に熱心に頼み込んで、まったく新しいピアノの世界を作り上げた。片手だけだから半分の力しか出せないのではなく、両手の演奏では考えられない、新たなパワーと独特の音色を作り上げたのである。
 
 もうひとつは国内の原発がひとつも稼動しなくなったいま、新たなエネルギー源が開発されようとしていることである。「低品質石炭」というエネルギー源で、総合商社・日揮が、それに含まれている多くの水分を特殊な技術で分解し、さらに添加剤を加えて、原油と代わらぬ火力を作ることに成功したという。しかもインドネシアをはじめとして、その埋蔵量は極めて豊富であるという。低品質石炭の1キロワット時の発電コストは大変安く、原発が10円、石油が20円、太陽光発電が40円という中で、約15円という低価格である。脱原発後の救世主となる可能性が大きい。
 
 いずれのケースも、限界や制約をものともせず、むしろそれをバネとして、新たな可能性に挑戦するという、強い精神力と卓越した技術力を発揮した結果である。これこそが従来からの日本人の強さではないだろうか。我々はこのような精神力とパワーを大事にしていきたいと思う。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム