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2006-10-06 11:43

連載投稿(1)「衰退国家」の長期的外交戦略はどうあるべきか

塚崎公義  久留米大学助教授
 唐突ですが、30年後の世界をイメージしてみました。米ソ冷戦が米国の勝利に終わった理由が経済力格差であったということから考えても、世界の軍事バランスや国際政治が各国の経済力に大きく影響されることは疑いありません。では、30年後の世界経済で大きなプレゼンスを持っているのはどこでしょうか。

 米国は、英語とドルとペンタゴンを持つ国として、あるいは経済システムのグローバル・スタンダードを提供する国として、引き続き世界中から優秀な頭脳と資金を引き寄せて世界経済をリードしているかもしれません。懸念材料は、米国の経常収支赤字がどこまで膨らむかですが、もしかするとある時点で大幅なドル安となり、経常収支問題が解消するかもしれません。

 欧州は、政治・経済統合が進めば経済も活性化し、政治的な発言力も増し、国際政治の中心に返り咲くかもしれません。もっとも、言語も民族も異なる国々が政治・経済統合をしても、米国の政治や経済と比べると困難な問題は残るでしょう。大陸欧州の保守的な体質からしても、米国のように世界中の優秀な頭脳が集まるようになるかどうかは難しい問題でしょう。そう考えると、国際政治の中心というよりは、米国に対峙し得る一大勢力といった位置づけかもしれませんね。

 中国は、このままのスピードで発展を続ければ、経済規模で米国を凌ぐ超大国となるかもしれません。そこまで行かなくとも、人口の多さなどから考えてアジアの盟主として君臨するようになっているかもしれません。中国人の子供たちが懸命に勉強していることを考えると、30年後には中国の技術力も相当高いものとなっているでしょう。

 アジアで中国に対抗し得る勢力としては、インドが挙げられます。中国に遅れはしましたが、経済がテイクオフしつつあり、数学的な能力という面でも商才という面でも優れた人々のようですから、弾みがつけば一気に急成長を遂げるかもしれません。人口的には中国を抜くでしょうから、カースト制度などがどの程度障害となるのかわかりませんが、経済力などでも中国と競うようになる可能性は十分にあります。

 ロシアも極東地域で中国と接していますから、覇を争うかどうかわかりませんが、ある程度対抗勢力としてお互いが意識するようになる可能性は十分にあるでしょう。(つづく)
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