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2006-09-27 14:20

「便法」による集団的努力

角田勝彦  団体役員
 小笠原高雪氏より、また有益なご意見を頂いた。安倍内閣発足をも踏まえ簡単にコメントしたい。

 神学論争の多くは「便法」を重ねるごとに発生してきたとのご指摘はその通りである。現実に対応するためとられた諸措置は、芦田修正の解釈や戦力なき軍隊論を始めとする神学的説明の下、行われてきた。憲法改正が可能であれば、こんな説明は不要であった。第2に「今後もあらゆる事態に『個別的自衛権の解釈拡大』によって対処できる」かとの問題提起に対しては、それができないからこそ憲法改正や解釈改憲が提起されていると答えざるを得ない。個別的自衛権を拡大解釈しても集団的自衛権の間には越え難い溝がある。

 しかし、最近でも周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法、自衛隊法改正、米軍再編合意など積み重ねられてきた「便法」の成果は、米側によっても高く評価されている。自国のみによる安全保障は困難であり、「集団的な努力」が必要なことは論ずるまでもないが、それは武力による相互防衛を不可欠としない。たとえば基地の提供を含む後方支援の価値を卑下する必要はない。

 なお、安倍新総理は26日就任にあたっての記者会見で、集団的自衛権について「(研究を)さらにしっかりと進め、結論を出していきたい」と述べるとともに、憲法改正について「しっかりと政治スケジュールにのせていくべく、(自民党)総裁としてリーダーシップを発揮したい」と強調した。また日米同盟強化のため、お互いがお互いを必要なときに対応して双務性を高めていくことが「当面においては極めて重要」と力説した。

 まさに、憲法改正を視野に入れつつ、当面は「便法」による処理を意図しているように見受けられるが、いかなる「結論」が生まれるのだろうか。
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