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2011-09-08 09:50

(連載)野田新内閣の誕生と日本の未来(2)

水口 章  敬愛大学国際学部教授
 例えば、日本はこれまで「ものづくり」産業を育成し、人々の暮らしの向上を図ってきた。しかし、その産業の中の普及型製品分野(家電、自動車、既製服など)においては、中国、韓国などアジア勢が台頭しており、日本はグローバル競争の敗者となりつつある。つまり、この分野が中心となって日本の未来を支えることは、もはや難しいといえる。かといって、公害問題、エネルギー危機を「効率化」によって克服してきたこの分野を、衰退するにまかせるだけではもったいない。

 したがって、日本は今後、これまで培ってきた技術を活かしつつ、「創造性豊かなものづくり」産業を育成すべきだと考える。具体的には、オーダーメイド型の製品に近い、一人一人の「日々の暮らしの効率化」が図れる製品の開発に努め、それを商品化していくという産業分野である。

 そこでの重要なアクターとなるのは高齢者である。もちろん、自らの加齢や死に向かっての準備は大切である。しかし、高齢者に可能な範囲で、それまで磨いてきた経験、知識、技術力を持って、新たな時代を担う若者が育つ土壌づくりに参加してもらうことも、日本社会にとって必要なことだと考える。高齢者自身も、その中で健康を保ち、やりがいを見出してもらえるのではと思う。もちろん、概ね衣食住が足り、移動の自由性が確保される地域社会であることが前提である。

 日本において、一人一人の日々の暮らしをよくするサービスや商品を開発する試みは既に始まっている。しかし、産業構造や国民の意識の中に「古き良き時代の残像」が存在している。その残像を記憶の箱にしまいこみ、新たな国家モデルを日本社会に浸透させるには、「真の地方分権」が必要だと考える。そして、それに合わせて国の特殊法人、独立法人の資産売却、国会・公務員制度の改革、社会保障改革を進め、財政再建を図り、「小さな政府」の構築を目指すべきだと考える。今が、「自由民主主義陣営で最大の中央集権的国家」と言われる日本が、国家モデルを転換し、幸福指数が高い国へと生まれ変われる「最後のチャンス」かもしれない。(おわり)
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