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2011-07-28 18:20

(連載)復興増税には宗教法人非課税の是非も検討せよ(1)

角田 勝彦  団体役員
 菅内閣は、復興・年金・B型肝炎訴訟和解金の財源として所得・法人・消費の基幹3税の増税と酒・タバコの税率引き上げをもくろんでいる。危機に当たり全国民に負担増をあおぐ建前から、この際政府は、懸案の宗教法人課税にも取り組んではどうだろうか。

 中心課題である復興については、7月26日の復興対策本部で、29日決定が予定される復興基本方針に盛り込む事業規模(10年間を復旧・復興期間とし、国と地方を合わせた総事業費23~25兆円)とその財源確保案が了承された。すなわち、当初5年の集中復興期間の事業費19~20兆円のうち10兆円程度を増税でまかなう方針が確認されたのである。事業費調達のため10兆円余の復興債を発行し、その償還を臨時増税で行う方式である。

 これは、筆者が3月15、16日の本欄への寄稿「危機にあたり臨時増税より特別公債発行を」で主張した「景気浮揚前の増税反対」路線に一応沿うものであり、少なくとも23兆円程度と明記された復旧・復興事業の総額は、20兆円とされる日本経済の需給ギャップを埋めるのにも役立とう。当初の5年間、とくに初期に集中して、2011年度第1次・第2次補正予算計約6兆円に加え、少なくとも13兆円程度が投入される計画とされるから、なおさらである。

 政府案については、事業規模についても、具体的計画についても、不満はあろう。たとえば、宮城県は10年間の復興事業費として、市町村分も含め約12兆8300億円と試算した由である。また政府は今年度内にも10兆円規模の復興債を発行して、第3次補正予算案を編成する方針だが、それは菅内閣のやるべき仕事ではあるまい。次期内閣になれば復興基本方針が変更される可能性もあろう。だが、より基本的なのは、財源確保案である。民主党内では増税論を唱えれば「次の選挙で落選する」との恐怖が強く、赤字公債案を主張する声が多い。復興債は12年度から「5年を基本に最長10年間」の臨時増税で返済するというが、毎年赤字公債を出している中で「復興債のみ増税で償還することはない」というのである。(つづく)
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