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2011-07-25 10:50

「再生可能エネルギー法案」の「庶民いじめ」を是正せよ

伊藤 英成  元衆議院議員
 菅首相肝いりの「再生可能エネルギー法案」の審議が国会で始まっている。再生エネルギーを今後重視していくことの重要性については、私も全く同感である。しかし今提出されている法案は、太陽光発電などの再生可能な自然エネルギーを高い固定価格で電力会社に買い取らせ、買取りに要した費用を電力料金に上乗せ出来る制度のようであるが、具体的内容は「庶民いじめ」の性格も色濃い法案ではないか。私は、次の2点を強く主張したい。是非とも是正を図るべきだと考える。

 まず、電力会社が買取りに要した費用を電気料金に上乗せする現在の案では、太陽光発電などを設置しない(出来ない、あるいは容易に出来ない)者が電気料金の値上げを負担することとなることを指摘したい。

 一般家庭の場合は、一般的には太陽光発電などを設置できるのは、一戸建住宅で、しかもそれなりに豊かな家庭であろう。現在、全国約4,800万世帯のうち約2,000万世帯は 共同住宅か長屋建てに住んでいる。これら集合住宅世帯のなかには、勿論いわゆる豪華マンション世帯もあるだろうが、豊かでないアパートなどに生活する世帯も多い。太陽光発電などを、現実論として容易に設置できない世帯が数多くいる。いわば、豊かな一戸建世帯が太陽光発電などにより利益を享受し、約2,000万の集合住宅世帯ほかの世帯が値上げされた電気料金を負担する、という構図である。買取り費用を電力料金に上乗せすることを止めるか、又は一部のみ上乗せするか、などにより、集合住宅世帯などへの影響を抑える必要がある。

 つぎに、買取り価格の水準の適正化に万全を期す必要がある。長期間の高価格固定制度は、技術革新や買取り価格の弾力性を損なう惧れがある。技術革新などによるコスト低減が、買取り価格に反映されるようにする必要がある。再生エネルギーという正義の仮面で、弱き者を黙らせることになっていないか、もっと工夫があって良いように思うが如何だろうか。まして菅首相退陣の条件クリアーのために成立を急いでよい法案では決してない。
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