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2011-04-03 10:32

「百花斉放」のあり方は、規制ではなく、良識によって

吉田 重信  政治論専攻
 平林博氏の3月27日付け本欄への投稿「『百花斉放』を政権ないし政党を論じる場とするのをやめよう」に違和感を覚えるとともに、また本掲示板のあり方の基本に関する問題でもあるので、コメントする。

 本欄が政策提言の場であることには、もとより異論がない。しかし、 平林氏も認めているとおり、本来、政策論と政党論とは切っても切れない關係にある。これを切り離して論じれば、抽象的な空理空論になる懸念がある。歴史学においても、歴史を動かす人々、つまり政治結社の性質、指導者の動向などを把握しないかぎりは、かれらの政治的主張、つまり、政策を理解することができない。まして、わが國においては、戦後の議会制民主主義の実際の運用に関連して、歴史的な意義をもつ政権交代が起こった。したがって、今後の政局の行方を論じるためには、二大政党である民主党と野党である自民党の政策を比較検討するとともに、それらの政策を主張している各政党の体質や指導者の資質の良非を問うことが、主権者である国民にとっても必要である。これまで、英米仏などの先進国における優れた政治評論においては、政党批判の観点も重要視されてきた。たとえば、アダム・スミスの『道徳感情論』や『国富論』などの優れた政治経済論においては、当時存在した政党への批判が含まれていたことに歴史的価値が認められている。

 問題は、論者の主張の中身の質である。内容が単なる個人中傷や感情論の域を出ないか、あるいは質の高い政治経済論になるかは、結局は各筆者の学識と良識に任せるしかないと考える。また、それは読者が判断する問題でもある。

 結論として、本掲示板は、自由で、知的な討論を旨とすべきであって、あらかじめ政党論を禁じるという規制をするのでは、中国などの独裁国と同じことになりかねないと考える。また、本掲示板には、投稿の際に守るべき一定の基準が掲示版の約束ごととして明示されている。したがって、もし編集者からみて、その基準にそぐわないと思われる内容の寄稿文があれば、そのような投稿に対しては、掲載しないか、あるいは編集者が一部修正のうえ掲載すればよいと考える。現実に、これまで本掲示板の編集者は、そのような方針で対応してきたと諒解している。本掲示版においては、各寄稿者の良識と編集者の裁量によって、規制によってではなく、自然に「良貨が悪貨を駆逐する」ようになってほしいものである。平林氏の主張の本旨も同じであったのではないかと推察する。
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