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2011-02-10 10:14

(連載)TPPは国民性変革の好機到来(1)

小山 清二  公務員
 現下の国民的関心事になってきたTPP(Trans-Pacific Partnership環太平洋経済協定)について、一言感想を述べてみたい。TPPは、当初は米国が入っていなかったものの、途中からはアメリカが中心となって推進しているようです。このTPPついては、「農業国米国にとっては農産物の輸出、外貨獲得で大いにメリットがあるものの、日本には農業崩壊で何もメリットはない」との指摘がなされているのも事実です。経済産業省や菅直人総理が積極的に推進するものの、閣議で議論しても、猛反対の合唱の中で、総理や推進派の閣僚達のトーンが次第に小さくなっていくようです。

 別に農業のみがマイナスになるというのではなく、関税障壁の完全撤廃を目指すという点では、国際競争力の低下の著しい商業、サービス分野でもマイナスが予想され、優位と言われた工業ではプラスかと言えば、高品質ではあっても、価格面で競争に負けているいるため、マイナス面が強いようです。恰も、大阪城における豊臣氏のようなもので、外堀、内堀を埋められてまる裸にされる、という危機的状況でもあるようです。

 ただし、積極的に推進する米国にとっても、完全な自由化を図れば、幾つかの農産物で価格的にオーストラリアなどに負けてしまい、幾つかの例外品目を設けなければ、一部の加盟国に国際競争力の面で太刀打ちできないと言われます。したがって、TPPというのは、米国にとって通商上のメリット追究という側面よりも、急成長する中国包囲網(封じ込め)という側面があろうかと思います。即ち、中国市場の封じ込めであり、中国を世界の中心から外し、米国に主導権を奪回する意図が見え隠れしているようです。

 それでも、私は、別に米国に加担するものではなく、むしろグローバル化時代の趨勢として、官僚支配を打破し、新しい時代への展望を切り開くため、やむを得ないのではないかな、と思う次第です。即ち、農業に自主性、改革性を取り戻し、官僚支配を打破するためには、好機到来となるのではないか、という感じを持っております。逆に言えば、今のままでは、どうせ日本農業は高齢化、高コスト化と共に衰滅し、新しい時代を迎える農業の改革は何も進みません。「十分な準備が必要」という意見もありますが、これまでにも時間は十分にあったはずです。それなのに、一向に改革が進まなかったのであり、最早時間切れです。思い切った世界的な変革の大波に身を任せる時期に来たという感じです。(つづく)
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