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2011-01-27 11:42

長期衰退の日本を救うためには、解散、総選挙しかない

森 長生  会社役員
 昨年の初めに在ワシントンの国際政治分析を得意とする調査会社ユーラシア・グループが発表した世界の「リスク・トップ10」では、5番目に「JAPAN」が挙げられ、日本国内でも話題になった。そして、この会社が今年の「トップ・リスク」に挙げたのは「Gーゼロ」である。要は、「G7やG8、更にはG20もワークしない」という意味である。もちろん「G2もワークしない」と。うまいネーミングである。そしてわが日本は、別の意味でいま「G-ゼロ」状況になってしまっている。すなわち、「Governanceーゼロ」状況である。振り返って見ると、ここ数年の日本の政治状況は、わりと単純な形で推移してきている。まずは、5年5ヶ月にわたった小泉政権によって国民の間に「ポピュリズム」の機運が広く深く醸成された。これには、折からのネット社会の進展と、そうしたポピュリズムに寄り添ったマス・メディアの影響も多大であることは言うを俟たない。ポピュリズムというものは恐ろしいものだ。一度蔓延すると、元に戻るのは、多分戦争でも経験しないとダメなのではないか、とさえ思う。

 この小泉政権のあとに続いた安倍、福田、麻生政権は、この国を担う資質と力量の不足を、余すところなく示すものであった。これにはもちろんポピュリズムを無分別に増幅するマス・メディアも大いに加担した。そして一昨年の衆院選。「ダメだ、これは」と感じていた国民の多数が、なんとなく「変化」を期待して民主党に投票し、いわゆる政権交代が起こったのである。「いわゆる」というのは、その後今日に至る過程で、本来の意味の政権交代になっていないことが如実に証明される形になってしまったからだ。政権交代一番手の鳩山政権のひどさは、どこから見ても、ここまで劣悪な政権は過去にも将来にもないであろう、と思わせる程のものであったが、続く菅政権は、そうした見方が間違っていたことを知らしめた。どこかの雑誌が「不条理内閣」と形容していたが、正にその通りである。「劣悪」も極まると「不条理」となるとは、ついぞ知らなかった。

 ところで、数年前、確か小泉政権のハシリの頃であろうか、「失われた10年」というフレーズが流行った。多分に自嘲的なニュアンスを含むものであったが、今や誰もこんな言葉は使えない。言葉の意味する状況が、10年どころか、20年も続く状況になったからだ。では今後、こうした「失われた」時の流れが、どこかでストップするのだろうか。国民の多くは、そんな楽観的な感じを持ち得ないだろう。要は、この国は「衰退の過程」に入ってしまったのだ、というのが私の解釈である。一国がまるでスパイラルのように劣化し、衰退していく。そこに我々が存在し、日々具体的な衰退の状況を見てもいるのだ。この状況を変え得るのは、長期的には人口減少に歯止めがかかることが明白になった時であろう。悲しいことだが、多分そうなのだ。

 だが、座してそれを待つわけにはいかない。一つだけ、その流れに抗する手段があるような気がする。それは、参院を巻き込んだ政界再編である。最も理想的なのは、自民党も民主党も融解し、国民の目にわかり易い旗印を掲げた2つないし3つの政党が新たに生まれる政界再編だが、簡単には実現しないことは明白だ。その大きな理由は、政治を担う面々のスケールが小さく、かつ「どこに出しても恥かしい」人種ばかりだからだ。とは言っても「贅沢は言えない」という見地から、「これしかない」と思うのが、衆院解散、総選挙である。とにかく今の状況をリセットする。その結果、日を置かずに、また失望する事態になるかもしれない。それでも国民が「リセットに参加した」という参加意識を持つのが、「いま最も重要だ」と思うのである。「Governanceーゼロ」から脱却するためには、それしかないのではなかろうか・・・。
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