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2006-07-24 00:27

国家の行く末を誤らせるな

上杉慶司  大学院生
 7月22日付け投稿「北朝鮮は日本の脅威に非ず」で吉田康彦先生が指摘される通り、北朝鮮ミサイル発射問題に関しては、この掲示板に限らず、メディアも知識人も、その多くが北朝鮮糾弾の姿勢をみせ、そこに多様な意見というものは見られない。だが、それをもって日本の言論が偏っていると見るのは大間違いである。確かに、今回の出来事だけを受けて、やれ憲法改正だの、ミサイル防衛だのと狂騒することは理性的ではない。本来、安全保障の論議は何か事件が起こってから始めたのではもう遅い。平時においてあらゆる事態を想定し、常に最悪の状況に対処できる体制を整えておくべきものである。その意味において見れば、今この時点であれこれ技術論や法整備を唱えている政治家や専門家は、その責任を果たしていなかったと断じてよい。

 しかし一方で、平時にこうした国防に関する論議を始めると、「軍国主義復活」、「右傾化」といった国内からの強い反対の声が上がるのもまた事実だ。特に吉田先生のように北朝鮮を擁護し、刺激したくない人たちや、中国に阿ろうとする一派は、日本政府が日本国民を潜在的脅威から守ろうとする動きを警戒する。それが、日本の健全な国防論議を妨げている。今回、“カラのミサイル”を北朝鮮が撃ったことは、そうした国内情勢を多少なりとも変えることに貢献したのではなかろうか。北朝鮮に日本を攻撃する意思がないと吉田先生がいくら頑張ろうと、その弾頭にNBCR兵器を搭載していないからカラっぽだと言ってみたところで、国際社会をこれだけ敵に回し、平気で他国の市民を拉致する国家を信用するわけにはいかない。今回のことを契機に、責任ある人々にはヒステリックになることなく、国民の安全を確かなものとする努力をしてほしい。

 吉田先生はかつて「私は拉致疑惑事件は韓国公安機関の安全企画部による謀略ないしデッチあげ、と信じる」、また核開発については「北朝鮮の核開発は人畜無害である。誰もその実害を被ってはおらず、国連が制裁するのは筋違いだ」「北朝鮮が日本に宣戦布告をしてきたらどうなるか。憲法九条は国の交戦権を否定しており、憲法に忠実に従う限り、日本国民は北朝鮮軍のなすがままに身を任せ、座して死を待つ他ないのである」とおっしゃっている。拉致問題に関する吉田先生自身の総括はどうなっているのだろうか。メディアの姿勢を糾弾する前に、自らのなすべきことがあるのではないだろうか。さらに、22日の投稿の中でも日本側に対する非難はしておられるが、例えば政府がどうするべきであるとか、今後の対処法などの代案を出しておられない。それどころか、そもそもの原因である北朝鮮に関して、むしろ弁護しているように見受けられる。アメリカの提唱する自由や民主主義が絶対だとは私も思わないが、それでも吉田先生の主張を一人の日本人として私には受け入れることができない。
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