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2010-11-12 13:41

(連載)新興経済諸国(とくに中露)との関係を再考せよ(1)

河村 洋  NGOニュー・グローバル・アメリカ代表
 最近のメディアと財界は、新興経済諸国を成長著しい魅力ある新市場として語ることが多い。しかし、本当に新興諸国に将来の希望を見出してよいのだろうか?財界に広まる近視眼的な商業主義と裏腹に、新興経済諸国は、国際政治経済の自由主義秩序に大きな挑戦を突きつけている。先進国は低賃金の新興諸国と熾烈な競争にさらされている。新興経済諸国の中には、西側の自由体制を否定し、自分達の専制体制を擁護する国もある。

 新興経済諸国としては、BRICs、ASEAN、韓国、メキシコ、南アフリカなどが挙げられる。それらの国々の事情は、国ごとに異なる。民主的で親欧米の国もあれば、中国のように「平和的台頭」を口にして、全く新しい世界秩序の形成を目指す国もある。

 新興経済諸国の中で最も重要なグループはBRICs諸国で、これらの国々は経済的な繁栄を背景に、政治面でも影響力の拡大を図るようになってきている。ロシアと中国は西側に挑戦を突きつけながら指導的地位を目指しているのに対し、インドはアメリカとの戦略的パートナーシップによって台頭してゆこうとしている。ブラジルはトルコと共にイランと国際社会の仲介を試みたが、アメリカの覇権に挑戦する気はない。よって、中国とロシアに特別な注目をする必要がある。

 さる10月15日に日本国際フォーラムで開催されたAPECに関する「外交円卓懇談会」で、私は中国の政治環境について発言し、「中国では外国企業の経済活動の自由が充分に保証されていないのに、なぜ財界人はこの国の市場に期待するのか、理解しがたい」と述べて、つぎの3点に言及した。第一に、中国は為替相場に介入して、国際市場競争を不公正に勝ち抜こうとしている。第二に、人権問題は深刻なリスクとなっている。尖閣紛争の際に、中国当局は何の躊躇もなくフジタの社員を報復逮捕した。第三に、共産党の情報管理によってグーグルは中国から撤退してしまった。(つづく)
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