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2010-10-26 17:32

(連載)対中国二元外交を排す(1)

角田 勝彦  団体役員
 伊藤憲一氏の2010年10月23日の投稿に関し、補足的に私見を申し述べる。前原外相は、10月22日午後の記者会見で、毎日、朝日、NHKによる、問題の胡正躍外務次官補の21日発言に関する質問(とくに朝日は「《日中首脳会談の》雰囲気がなかなかできていないと《中国に》受け止められてしまっている現状を、どうお考えになっているか」と責任追及)に対し、「日中の戦略的互恵関係を進めていく。 そういう大局に立って、お互いの問題点を解決すべき努力をしていくということが大事である。そのような視点に立って今後も発言、行動を行っていきたい」「お互いがそういう意識を持って臨むべきであり、発言をしていくことが大事だろう。その発言の中には、いろいろあってしかるべきだと思う」と答えるとともに「やはり中国側も日本との関係改善を進めて互恵関係をつくりたい、あるいはハノイでの会談を成功させたいという思いが根底にあって、あのような発言になっているのではないか」といなした。

 これに対し、中国外務省の馬朝旭報道局長は23日、「(発言に)留意している」と評価し、日本が中国とともに戦略的互恵関係を推進するよう求める談話を出した。これで日中首脳会談は、29日実施に向け再度調整が進み出したようである。また反日デモは反政府の色彩を帯び出したせいもあり押さえ込まれている。

 政治の論理からみて、隣人という特別の関係にある大国・中国との戦略的互恵関係進展は歓迎すべきである。中国の一般庶民のなかにも生まれている大国意識と日本を含む周辺諸国への優越感(乃至蔑視)は数千年来の伝統的中華意識であり、いばりんぼうで自己中心主義の隣人と覚悟してつきあうほかないだろう。

 問題は、伊藤憲一氏が指摘された日本の隙である。前原外相も、前記記者会見で「いろいろな個人の思い、あるいは各社の論調等はあろうかと思いますけれども」とコメントしたように中国と違い、有り難いことであるが、日本では言論は自由である。反論すれば良い。重要なのは中国ほかが狙う二元外交にならないことである。また目先の党利党略を重視する素人外交にならないことである。(つづく)
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