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2006-07-14 11:15

中国の海洋政策全体の意図を見据えよ

松岡真二  大学院生
 第28政策提言「変容するアジアの中での対中関係」に関する政策委員会の議論に関し、東シナ海問題について若干の検討は行われたようだが、もっと包括的に中国の海洋政策全体の意図を見据えて、中国に対応していく必要があると考えるので、一言私見を述べたい。  

 昨今中国の潜水艦による日本の領海侵犯や、尖閣諸島領有権問題、沖ノ鳥島の「岩」説など、海洋における中国の行動が目立っている。さらに中国は北朝鮮の羅津港埠頭における50年間の運営権を確保したという。これは中国が日本海に出口を持ったことを意味する。こうした動きに対し日本では中国の軍事的脅威ばかりが強調されているように思えるが、総合的に中国の海洋政策の狙いを分析し、対応を考える必要があるだろう。中国では1980年代以降、国家海洋局が中心となって統合海洋管理、海洋関連法の整備、海洋技術の開発、石油開発、環境保全など総合的な海洋政策を展開してきている。これは軍事的拡張よりも、むしろ国家主導の世界的資源獲得政策を支援するためのシーレーン安全確保策であると考えられる。
 
 一方で日本は2005年に許可するまで、石油会社からの東シナ海における調査、試掘申請を30年以上も凍結し続けてきた。今となっては東シナ海海域は中国の漁船が多数いて、軍艦もたまに姿を現すなど中国の海と化しており、そんなところで日本の民間企業が安全に調査を行えるはずがない。また、東シナ海の日本の排他的経済水域における中国による資源や海流の調査は本来なら国際法違反だが、日本は中国が事前に申告すれば調査を許可するという「事前通報制度」を自ら提案するという失敗を犯した。強引とはいえ中国が先に述べたような国家主導の一貫した海洋戦略を有しているのに対し、日本の対応はあまりにお粗末といえよう。
 
 日本はまず中国の海洋政策の実態を把握する必要がある。中国は日本との話し合いに適当に応じながら、海底資源調査を進め、着々と既成事実を積み上げていくと思われる。中国の言いなりにならないためにも、日本は早急に総合的な海洋に関する国家戦略を確立し、対応を検討するべきであろう。
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