国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2006-06-19 11:31

暴走する国立追悼施設建設論とその盲点

斉藤 茂  無職
 6月1日付けの小池享氏の「追悼施設はなんのためにだれを祀るのか」にまったく賛成である。だれも論じていない国立追悼施設建設論の盲点だと思うので、同じことを考えているのは小池氏だけではないということを示すために、以下私見を投稿する。

 「中国や韓国から文句をつけられるのは、A級戦犯を合祀しているからだ。分祀しようと思っても、靖国神社は独立した宗教法人だから国の言うことを聞かない。それなら、国が靖国神社に代わる追悼施設を創ればよいではないか」、そんなところが靖国神社に代わる国立追悼施設を創りたいという議論の出発点だったと思う。

 私もこのあたりまでなら理解できるし、賛成してもよいと思っていたのだが、その後の国立追悼施設建設論を見ると、さらにその先を勝手に暴走している。しかもそのことが国民にはまったく知らされていない。そもそも「暴走」という理由は、福田康夫前官房長官の諮問会議の一部分子(山崎某)が諮問会議を乗っ取って、国民的議論どころか、諮問会議内部の議論さえも尽くさずに、とんでもない結論を諮問会議の報告書に盛り込んだからである。

 「せっかく創るのなら、戦死者だけでなく一般被災者も追悼すべきだ。ついでに敵味方の差別もやめて、あの戦争の犠牲者はすべて一緒に追悼すべし。日本兵を殺した中国兵も、広島・長崎を爆撃した米兵もすべて一緒に祀れ」という暴論である。これが「良識ある見解」と自画自賛されている。だれでも祀るということは、だれも祀らないというのと、同じことになる。それが真の狙いだ。

 このような考えの背後にある考えは、つぎの6点であることを指摘したい。(1)日本はもう戦争することはないのだから、あの戦争が最後の戦争になる。(2)だから、あの戦争の戦死者だけを祀ればそれで追悼施設の役割は終わる。(3)ところで、あの戦争の犠牲者は、戦死者だけでなく一般被災者もいる。この際、国民全部を祀るべきだ。(4)さらに、あの戦争は侵略戦争だったから、日本人だけを祀ることは許されない。(5)将来、日本が侵略を受けたとしても、日本には平和憲法があるのだから、国民は国を守るために戦う必要はない。(6)だから、国を守るために戦場で死んだ者(戦死者)だけを祀るという発想は排斥されねばならない。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム