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2010-07-04 15:54

(連載)吉田重信氏の藤原正彦論文批判に同感する(1)

山崎 浩  会社員
 7月1~2日付けの本欄で吉田重信氏が、『文芸春秋』七月号に掲載された藤原正彦・お茶の水女子大教授の「提言/一学究の救国論―日本国民に告ぐ」を批判されています。私もほぼ同感ですので、吉田氏の投稿と重複しない範囲で私見を述べさせてもらいます。この藤原正彦と言う方については、名前を知りませんでした。しかし、『国家の品格』を書いた方と聞いて、「あっ、なんだ、あの人か」って思い出しました。『国家の品格』は、本屋で立ち読みした記憶が有りますが、ばかばかしくて、すぐ本を閉じました。読む時間が無駄だと思ったからです。つまり、ただでも、読むだけ無駄な本と言うことです。ということで、その内容はすっかり忘れてしまったので、ここでは同書の批判はしません。

 先に言って置きますが、日本政府の公式見解、たとえば、河野談話などは、政権をとった内閣が改めようとすれば、できないことではありませんが、まあ事実上不可能でしょうね。自民党政権下で15年間も踏襲して来たわけですから、政権が変わっても、だからといって、これを変更しようとすれば、大きな外交摩擦が生まれます。沖縄米軍基地問題と同じで、日米間の取り決めを反故にしようとすれば、内閣がこけるでしょう。サンフランシスコ条約や日中条約でとりきめられた内容は、条約を改訂しない限り、変更は無理です。サンフランシスコ条約などは、改訂自体が無理です。当然、そのなかに書かれていた「東京裁判のジャッジメントを受諾する」と言う項目も、改訂不可能です。

 さて、気になった点について個別に検討して行きましょう。まず、マッカーサー証言による「日本の戦争は、自衛のための戦争だった」うんぬんの件です。マッカーサー元帥は、朝鮮戦争の後の米議会で「日本の戦争は、自衛戦争であった」と証言したとされていますが、真っ赤な嘘です。マッカーサー元帥の、1951年5月3日の米上院軍事外交合同委員会における発言の原文は、「They feared that if those supplies were cut off, there would be 10 to 12 million people unoccupied in Japan. Their purpose, therefore, in going to war was largely dictated by security.」です。「安全保障のため」と書かれて有り、「自衛のため」とは書かれていません。


 どう違うか説明します。今、北朝鮮はさまざまな理由で国際社会から非難され、制裁を受けていますよね。そこで、北朝鮮が苦し紛れにソウルに攻め込んできたら、それは自衛戦争だと言いますか?あなたはどうです?北朝鮮の立場からすれば、「自衛」かも知れませんね。そもそも北朝鮮は、国際社会から制裁を受けるべき行動を何度も繰り返して来ました。だから、制裁措置に協力する国が現れるのです。とすれば、非は制裁を受けるような行為をした北朝鮮に有るとは思いませんか?ハルノートによって日本が追い詰められたのは事実です。そして、苦し紛れに日本が戦争に突入していったのも事実です。でも、それは日本が石油の禁輸と言う制裁を受ける原因となる行為をしたからです。でなければ、イギリスもオランダもアメリカに同調しません。では、日本は何をしたのか?ずばり、仏印進駐です。(つづく)
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