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2010-06-07 09:31

(連載)雨降って地固まる?(2)

角田 勝彦  団体役員
 この間、韓国哨戒艦沈没を契機に燃え上がった北朝鮮問題が、韓国統一地方選での与党敗北もあり、朝鮮半島の大事にならなかったのは、幸いであった。中国とは、来日した温家宝首相と鳩山前首相が、5月31日、東シナ海ガス田の共同開発に向け条約交渉を始めることで合意するなど、「友愛外交」の成果は上がっており、継続が妥当である。

 第2は、経済・社会政策である。菅副首相は、6月3日の記者会見で、「新成長戦略」と「財政運営戦略」を6月中にまとめあげ、強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する旨明らかにした。3日判明した自民党の参院選公約の最終案は、焦点の消費税について、「年金・医療・介護に充てる社会保障目的で、現行5%を当面10%まで引き上げる」と明記し、経済成長率も「あらゆる政策を総動員し、3年間で名目4%を実現」と具体的に掲げているが、民主党のバラまき政策にも修正がありそうである。幸い、ユーロ問題などはあるが、二番底の危険は薄くなった現在、是正が行われれば、実体経済にも反映されよう。

 第3は、政治姿勢である。鳩山政権では、過度の政治主導と、これと裏腹の官僚無視がさまざまの失敗を生み出している。科学者は仮説を立てて実験に臨むが、期待された数値が得られない場合、仮説を変更しなければならない。実験の数値を改ざんすれば、一生の汚点となる。政治主導も同じである。理念空回りでなく、実態に即した行政を尊重しなければならない。実態を無視した政治主導は、たいてい勉強不足が主因であるが、空回りで済めば運がよい方で、実害を及ぼしかねない。なんでも天下り反対の国民が安易に喝采している「事業仕分け」も、多くは大蔵省主計局や会計検査院のベテラン官僚がやっていることで、立法を本旨とする政治家が熱を上げるべきものではない。政調復活などで、議員が政策に関与する道を広げるのが妥当である。かつて薬害エイズ問題で官僚と激しく対立した菅新総理は、副首相・財務大臣時代、態度が変わったとされる。「負の遺産」となった官僚排除は改めるべきである。

 第4は、政治とカネの問題である。9月の任期切れ代表選挙もあり、小沢前幹事長の取り扱いが「慎重」に傾くとしても理解はできるが、断を下さない限り、7月参院選の先行きは暗い。(おわり)
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