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2010-04-27 11:57

中国で感じたこと

田原 総一朗  評論家
 4月12日~14日まで、上海に行ってきた。驚くことがたくさんあった。上海の人口は2千万人を超えている。東京の約2倍だ。出稼ぎにきている人は更に2~3百万人いる。世界一の大都市である。日本人の数も、約8万人。ロスやNYを超えて、これも世界一である。万博を直前にして活気に燃えている。
僕はあっちこっちへ行くのに東京の感覚のまま車で2~30分のつもりでいたら全部、1時間以上かかり、改めてその広さを思い知らされた。チョウケイセイ元大臣が、僕が上海へ行くと知ってわざわざ北京から来てくれた。そして、上海の共産党の幹部達と2時間以上話し合った。上海の大学教授達も15~6人集まって、ディスカッションをした。日本の上海の総領事やアメリカ総領事にも会った。

 これまで日本は、アメリカをモデルにしてやってきた。しかし、中国のGDPが日本を越えた今、中国モデルという事を考えなければならないのではないか、と思わせられた。中国は共産党の一党支配で問題も様々であるが、ともかく決定が早い。そしてアセアンやアフリカで大活躍している。日本は決定が遅くて、いつもタイミングを外している。それにアメリカやヨーロッパが不況にあえいでいる中で、10%以上の高度成長を続けている。学者達とのディスカッションで、私は質問した。「日本では昨年、ずっと政権の座にあった自民党が選挙に敗れて民主党が政権の座に着いた。選挙によって政権交代が行われたのである。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなど旧西側の国々は、いずれも選挙によって政権が変わるのが当たり前になっている。それに対して中国では選挙というものがない。経済では少々の自由があるのに、政治では競争の自由がない。これは、健全なのか?不健全なのか?」と聞いた。

 学者達は、しばらく沈黙して一人が「確かに日本は自民党から民主党に変わったけれども、大した変化がおきてないではないか」と言った。更に「なまじっか選挙があるので、自民党も民主党もいわゆる世論迎合になっている。早い話が870兆も借金があるのに、自民党も民主党も消費税を上げられない。欧米の国々はいずれも消費税が10%台後半、スエーデンは25%である。それに対してわずか5%。低すぎる。これをあげられないのは世論迎合以外の何ものでもない。民主党が普天間の米軍基地への移設が決められないのも世論迎合ではないのか。」中国側のこうした意見はいずれも一理ある。

 僕はあえて言った。「選挙があるよりないほうがいいのか?」すると、しばらく沈黙が続いたあと「今、中国でもっとも必要なのは民主化と言うことである。中国共産党の民主化が必要である。このままでは、中国はやっていけない。遠くない先、変化が起きる、また起こさなくてはならない。選挙は必要だと思う」と答えた。僕は、中国の人たちと充分話し合えた、と改めて感じた。それにしても、上海の活気はすごい。
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