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2006-06-06 11:12

中国の民主化は日本や世界にとって望ましくない

野原 豊  会社員
 第28政策提言「変容するアジアのなかでの対中関係」に関する「第3回政策委員会メモ」を拝見しましたが、「日本にとって望ましい中国は、どのような中国か」という観点からの議論が皆無だったように思います。あるいは、民主化した中国、自由と人権の確立した中国が日本にとって望ましい中国なんだという結論が、議論の前提としてすでに確立し、政策委員会で共有されていたためかもしれません。しかし、であるとすれば、なおさら、私としてはあえてここで異論を述べておきたいのです。

 果たして民主化した中国は中国自身にとって、また日本にとって、さらには世界にとって望ましい中国なのでしょうか。この点を考えるためには、その前提として政治的、経済的に安定した中国と不安定な中国のどちらが世界にとって望ましいのか、という問題に最初に答えておく必要があるでしょう。政治的、経済的に安定した中国のほうが望ましい中国であることは、だれにも異論はないと思います。であるとすれば、問題は「民主的な中国」と「一党独裁の中国」のどちらがより安定した中国であるのかというふうに、問題を置き換えることができます。ここまで問題を整理すれば、「日本にとって望ましい中国は、どのような中国か」という質問に対する答えが、「民主的な中国」ではなく、「一党独裁の中国」であることは明白でしょう。

 中国はその四千年の歴史で、国が分裂していた時期は千年に近く、結構長いのです。このように元来中国の歴史は分裂の傾向を内蔵しているのです。そしてこの分裂の時代は「五代」によって象徴されるように、極めて混乱した時代でした。だからこそ、中国人はつねに国の統一を追求してきたのです。現在中国が何とか統一されているのは、共産党の一党独裁の結果です。もしこれを止めさせて、民主主義体制にした場合、中国の統一は損なわれ、東北部、沿岸部、内陸部に分裂した中国になりかねません。そのような中国の政治は不安定になり、経済は格差が拡大して経済難民が発生するでしょう。日本や世界にとってそれが「望ましい中国」であるはずはありません。

 結論として、中国の民主化は中国の統一にとって好ましくなく、日本や世界にとっても良い結果を生みません。むしろ現在のまま共産党独裁が続き、その下で秩序が維持されているほうが、順調な経済発展もつづき、中国自身にとってだけでなく、日本や世界にとっても望ましい存在になると言えるでしょう。
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