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2010-04-07 07:34

平沼新党に「第3極」形成の勢いはない

杉浦 正章  政治評論家
 「新党も精々滅却されぬよに」などと、今日4月7日の「朝日川柳」で茶化されては、立つ瀬があるまい。滅却とはほろびることだ。平沼新党は、現職議員5人目の確保が難航しており、共同通信の世論調査では新党構想に「期待しない」が何と65・9%に達し、「期待する」の27・1%を大きく上回った。新聞がトップで「第3極」などと持ち上げているときに、しょせん「古希新党では駄目」と筆者が指摘したとおりだ。だいたい自民党に若返り人事を突きつけておいて、自分たちだけが「老人党」では説得力がない。やはり共同の調査では、みんなの党の支持率が9・6%に上り、民主、自民両党に次いで第3位となった。新党はもともと反民主で先行しているみんなの党の二番せんじでは、とても第3極などは難しい。

 平沼赳夫も、与謝野馨も「5人は確保できた」としてきたが、内実はそう簡単なものでもないらしい。6日も自民党参院議員・丸山和也に打診したが、事実上断られている。丸山は「あのメンバーでは新鮮さは伝わりにくい」と述べている。同様に新党を批判したのが、平成の坂本龍馬を気取っていた鳩山邦夫。「立派な方々が集まっているが、国民を鼓舞するような要素はない。私はもっと、国民が沸き立つような、清新なものと思っていたから、ちょっと違う」と批判。しかしこれは、新党からお呼びがかかるのを待っていたが、無視されて頭に来た、という図式のようだ。

 なぜ無視されたかというと、平沼を激怒させたからと言われている。そもそもの新党結成の動きの発端は、去る2月26日に平沼、与謝野、鳩山と、園田博之、藤井孝男、鴻池祥肇が集まって“決起”を誓ったことにあるとされる。しかし機が熟したと早とちりした鳩山が、3月15日に「鳩山新党」を目指して、独断で新党へと走り出してしまったのだ。「平沼新党」に固執する平沼は激怒し、「鳩山君とはもう会わない」と言い切ったという。与謝野の取りなしも効かず、鳩山外しが実現した形となったようだ。平沼は、鳩山の母親献金も問題視しているようだ。もう1人新党論をぶっていた舛添要一は、「一切、関係のない話だ」と記者団に語り、参加する意思がないことを明確にしたが、平沼側も最初から念頭になかったといわれている。

 普通新党結成の時は「来るものは、拒まず」の姿勢でゆくのが通例だが、どうも平沼も、与謝野も、ぜいたくにも「排除の理論」を先行させているようだ。これでは、広がりは見せようがない。最終的に5人目は故中川昭一の叔父で参院議員の中川義雄でスタートするようではあるが、5人目確保に四苦八苦しているようでは、船出のドラも鳴らない。東京新聞が社説で「与謝野氏らの行動は、谷垣執行部への警鐘と言えなくもないが、本来なら党にとどまり、最後まで党再生に死力を尽くすべきだった。離党が、自民党という『泥舟』からの逃避であってはならない」と指摘しているが、もっともである。国土交通相・前原誠司は「これから恐らく雨後の竹の子のように新党が出来てくるのではないか」と述べているが、むしろ逆だ。平沼新党の不振で、新党への動きも萎縮するのではないか。
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