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2010-03-30 07:30

千三(せんみつ)首相鳩山は、それでも政治家か

杉浦 正章  政治評論家
 「千言う事三つも真実(まこと )はなしとて、千三(せんみつ)という男あり」と井原西鶴が「本朝桜陰比事」に書いているが、まさに“千三首相”の様相である。首相・鳩山由紀夫がまたまた前言を翻した。今度は事もあろうに政権の抱える最重要課題である普天間基地移設問題だ。鳩山は3月26日の記者会見で「政府案を一つにまとめなければうまくいかない。3月いっぱいをめどにしながらまとめる努力をする」と述べ、報道も政府もその方向で動いていた。しかし外相・岡田克也が28日に「首相の設定した期限は分からない」と食い違いを見せると、急きょ29日には「今月中でなければならないとは、別に法律で決まっているわけではない」と月内とりまとめを断念したのだ。

 焦点中の焦点の問題での「朝令暮改」であり、それも「法律で決まっていない」という発言はどうだろうか。自分で方向性を示しながら、その撤回に“法律”を持ち出す場面であろうか。これでは5月中の普天間決着に「覚悟を持って臨む」とした発言も「法律に書いていない」として、参院選挙後に持ち越すのだろうか。

 折からワシントンにおける岡田と米国防長官・ゲーツとの29日の会談では、ゲーツが「在沖縄海兵隊は日米同盟にとって極めて重要」と強調した。これは日本側の分散移転案に対して、沖縄での航空部隊と、地上部隊の一体的運用の必要性を強調したものと受け取れる。日米交渉は確実に難航する流れだ。鳩山は恐らくこうした厳しい米側の対応を知り、軌道修正の動きに出たのであろう。

 このような「千三首相」を抱えた国民、とりわけ翻弄され続けている沖縄県民の感情はいかばかりかと思われる。大統領・オバマに対する「トラスト・ミー」や、母親からの月1500万円供与を「知らなかった」で押し通していることなど、内政、外交、「政治とカネ」に渡る虚言と前言撤回は「綸言汗の如し」という政治の要諦を全く心得ていないことを意味する。自民党幹事長・大島理森が「政治のイロハのイも、言葉の重さも、わきまえておらず、それでも政治家か、と言わざるをえない」と述べ退陣を促したのも、もっともである。千三どころか「万八」「うそっ八」という言葉もあることを付言しておこう。
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