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2010-03-25 11:33

(連載)各党は参院選のマニフェストを提示せよ(1)

角田 勝彦  団体役員
 半年乃至1年前に約7割の高い支持率で発足した日米の民主党政権は、最近似たような苦境に立たされている。オバマ大統領は、上院の約3分の1と下院の全議席が改選される11月の中間選挙を前に、支持率が5割前後にまで低下し、米CNNテレビが2月16日発表した世論調査結果によると「(大統領は)再選に値しない」との回答が52%に上った。ケネデイ上院議員死去にともない 1月19日に行われたマサチューセッツ州の上院補欠選挙でも、民主党候補が共和党候補に大差で、まさかの敗北をしている。他方、鳩山内閣は、「選挙による革命」とまで言われた期待を背負って半年前発足したが、7月末の参院選挙を前に、支持率が3月中旬32%にまで下落した(朝日新聞世論調査)。3月8日の読売新聞発表の世論調査によると、「(参院議席で)民主の過半数望まず」は57%だった。2月の長崎県知事選挙など複数の首長選でも、同党の推薦候補が敗れている。

 ただし両政権及び両国の政治姿勢にはかなりの違いがある。オバマ政権は、金融及び自動車産業に巨額の国費を投入する、「社会主義」と批判される政策をとったのに続き、3月21日、7票の僅差ながら医療改革法の下院通過を実現し、23日成立させて、「国民皆保険」へ大きく前進した。これは1兆ドル近い総費用を必要とし、財源として高所得者層への追加増税も予定される法案で、賛否が国論を二分したが、自らの政治生命を賭けたのである。

 他方、我が国においては、緊急経済対策の面では、92兆円と過去最大の平成22年度予算も年度内に成立し、輸出も増えて、二番底の危険は薄らいだものの、財政赤字対策を含む成長戦略は不明確であり、成長への具体策は6月発表待ちとなっている。また、普天間を当面の課題とする安保、ひいては日米関係には、さきの見通しが立たず、迷走が続いている。郵政民営化見直しも同じである。これらには、総理の指導力不足が第一の原因との指摘が多い。

 そこに参院選挙を前にして、我が国では政策より政局に関心がある動きが目立ってきている。選挙(権力)第一という動きである。自民党にも分派活動があり、民主党も解任したばかりの生方副幹事長を、3月23日に「参院選を控え、党の団結と協力が大事な時だ」と続投させることとした。なお支持率低下が続けば、幹部の交代があり得るとさえ言われている。選挙の論点として「政治とカネ」や党の体質(独裁)が問題になるのは当然であるが、「選挙の邪魔をする者は、斬り捨てよう」と言うのである。(つづく)
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