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2010-01-25 09:45

(連載)アメリカに大統領はいない:アバターとしてのオバマ大統領(1)

藤井 厳喜  ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン代表取締役
 オバマ大統領は、アメリカの歴代大統領の中でも、極めて「軽い」大統領である。オバマの映像を見る度に、彼のスピーチを聴く度に、彼が如何に「軽量級」であるかを実感してきた。しかし、彼は単に軽い大統領なのではない、という事にはたと気がついた。今や、アメリカに本当の大統領はいないのである。オバマは、「大統領のスポークスマン(広報官)」に過ぎない。つまり、大統領スポークスマンが、大統領の代行、もしくは代理をしているのが現在のアメリカ政治の実情なのである。

 つまり、ホワイトハウスに真の主人公は存在していないのだ。このような視点から見た時に初めて、オバマ政権というものの本質がよく見えてきた。共産主義政権風に言うならば、現在のホワイトハウスは「集団指導体制」である。その集団指導体制の中で、表に出てスポークスマンの役割を果たしているのが、バラク・フセイン・オバマ・ジュニア氏である。ひとえに、演説の巧みさにより、彼はこのスポークスマン役を割り当てられたに過ぎない。

 如何なる政権と言えども、近年はみな、チーム体制であり、ホワイトハウスの機能が役割分担によって成立してきた事は確かである。レーガン政権は即ち、レーガン・チームの事であったし、ブッシュ・ジュニア政権は、ブッシュ・ジュニア・チームによって支えられていた。それが今回は、オバマ・チームになっただけ、と考えるとそれは誤りである。

 レーガン・チームにおいては、レーガンの存在価値は圧倒的であった。やはり、彼の思想と人格がモノを言っていた。比較的軽量政権であったブッシュ・ジュニア政権ですら、重要な最終判断は、大統領自身が行っていたし、大統領個人が最終的な政策決定者であるという実感を国民もまた持っていた。しかし、オバマ政権はこれとは全く異なる。(つづく)
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