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2010-01-14 22:00

政党助成金の返還を促す工夫をせよ

北田 徹矢  公務員
 平成6年の政党交付金助成法の成立により、国会議員が5名以上集まり、政党として所定の届出をすると、国庫から政党交付金を受けることができるようになった。いきおい、新党樹立の機運が高まり、90年代に多数の新党ができている。そのなかで、合従連衡の動も見られ、既存の政党が解散して新たな政党として生まれ変わることも見られている。解散する場合は、支給された交付金は返還するのが筋だが、それがなされず、罰則規定もないため放置されたままになっていることが多い。ここ最近にわかに騒がれているのは、このことである。1月10日付けの読売新聞は、「政党交付金、見えぬ使途:自由党解散で返納せず」と問題視している。

 懸念されるのが、おカネを管理している人から周囲に対して、秘密主義が知らない間に広がることである。きちんと管理できていれば問題はないが、人の世の常として、担当した人が亡くなり、引き継ぎがうまくいかないなどのときには、問題が起こり得る。このことからしても、政党は、それが永続性を前提にした存在である以上は、解散等の想定外の異常事態となった場合には、受給した交付金を返還するよう義務付けるなどの制度を整えるべきである。断っておきたいことは、政党が合従連衡や新党設立するのが悪いと非難するつもりは全くない。

 政党が興り、栄え、転変のあと、解党して出直すことは、あっても全然おかしくない。問題は、そのときに、おカネの整理、精算がきちんとなされるべきことである。そうでないと、、今度の旧自由党のケースのように、政治資金を国庫に返すべきだったにもかかわらず、返していなかったということが、今ころになってから問題になるという事態となる。関係者は、具体的にどう後始末をつけるつもりでいるのだろうか。すでに解散した政党の今から何年も前の政党交付金を利息をつけて返させることは、素人目に見ても不可能に近いと思う。

 返すべきおカネを返さずに放っておくとどうなるか。責任の所在があいまいになり、最終的には国民の税金が目的に反した使われ方をされることになる。政党交付金助成法の欠陥を是正することが必要である。そのなかで、解散政党が政党交付金を他の政治団体に寄付できないよう規制することも考えられる。しかし、これをあまり厳しく規制すると、徒に政局的な動きや過剰反応を招くことになりかねず、心配である。規制強化はもちろん大切だが、同時に私の提案したいことは、大胆に簡略化した返還制度を設けて、返還を容易にし、促す工夫である。
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