国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-11-26 11:44

「事業仕分け」だけで、鳩山政権は支持に値する

山竹 章一  大学教員
 昨11月25日、ぶらりと出かけた国立印刷局市ヶ谷センターで、行政刷新会議の「事業仕分け」の現場を見学することができた。仕分け人たちがよく準備、勉強してきているだけでなく、役人たちのぬらりくらりの目くらましの議論に騙されることなく、鋭く反論しているのには敬服した。これまでこういう議論は蜜室で行われ、最終判定権者は仲間内の官僚同士だったから、ぬらりくらりの建前論が通用し、最後は「お互いよかったですね」の既得権益擁護に終始していたのだと思う。

 それが、今度は最終判定権者が「仕分け人」の側にいて、しかもその目線は国民の目線である。だから、きれいごとの建前論が通用しない。「本当のところ、実態はどうなの?」と突っ込まれる。私の見たのは、外務省広報事業の仕分けだったが、ある民間出版社の発行する『外交フォーラム』とやらいう月刊誌を、あろうことか9000部も毎月国費で買い上げているのだという。しかも、この民間出版社というのは、ある民間雑誌の編集者が定年退職時に在職中懇意にしていた外務官僚を取り込んで作った出版社で、『外交フォーラム』の発行だけで成り立っている会社だという。

 仕分け人たちが、ここまで切り込めるのは、もちろんかれらが有能であり、国民の側の立場に立っているからであるが、しかし、それ以上に重要なことは、仕分け作業が国民に公開されていることだと思う。仕分け人ひとりひとりの一言一句を国民は注視している。そのことを知っているから、仕分け人も全力を尽くして、国民の期待に応えなければならないわけである。

 この「百花斉放」欄でも、鳩山政権の政権運営にはいろいろの批判が出ている。とくにその外交安保政策には広く各方面から懸念が表明されているが、そしてその懸念は私も同感し、共有するところだが、それにもかかわらず、この「事業仕分け」のゆえに、私は鳩山内閣を支持したい。公開で税金の使い道を審査するこの「仕分け」作業こそは、官尊民卑だった日本政治の風土に、初めて主権在民の気風を持ち込もうとするものであり、今回の試みが挫折すれば、日本政治の民主化は本当に永久に不可能になると危惧するからである。 
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム