国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-10-09 10:03

(連載)首相はリオ五輪への支援を表明せよ(2)

角田 勝彦  団体役員
 すなわち「目に見えない政治的な動きがある」などと発言したのを、裏取引があったことを示唆したとみたブラジル側が、「IOCに正式に提訴する。発言は非常に不適切で、謝罪を求める」と強く反発したのである。これは、その後猪谷IOC副会長が、ロゲIOC会長始めリオの招致委員会会長を務めたIOCのヌズマン委員やブラジル人委員のアベランジェ前国際サッカー連盟会長ら関係者に謝罪し、「みんな心配はないと言ってくれた」由であるが、石原知事も自戒すべきであろう。

 いうまでもなく、ブラジルはBRICsの一つで、埋蔵量800億バレルといわれる海底(プレサル層)油田の発見もあり、我が国が今後ますます重視すべき大国である。日系人の存在もあるし、国連安保理改革、気候変動などを含み関係強化に、いっそうの努力が必要である。この関連で、リオ五輪は、広く両国関係強化に役立つ一つのチャンスと考えられる。とくに経済面から見て、ブラジルがリオ五輪の開催のため必要とするインフラ整備は巨額に及び、高速鉄道建設計画など我が国が協力を申し出ているものもある。デジタル・テレビ日伯方式の普及にも役立とう。

 すなわち、ブラジル招致委員会の計画では、リオ五輪の大会予算は28億ドル(約2520億円)だが、ルラ大統領は、2016年の夏季五輪の開催決定を受けて会見し、10~13年に3590億ドル(約32兆円)をインフラ整備に投資する計画を明らかにした。五輪が開かれるリオデジャネイロを中心に鉄道、高速道路、空港、港湾などを整備する由である。さっそく各国から協力の申し出が殺到しよう。

 オバマは、南米で初の五輪開催が決まったことについて「本当に歴史的な出来事」と、リオデジャネイロの招致活動を称賛し、既にブラジルのルラ大統領に祝意を伝えたという。マドリードのガジャルドン市長も「南米初の五輪を祝福する」とリオデジャネイロに敬意を示した。東京の招致運動の関係者らも「リオ、五輪まかせた」とエールを送った由であるが、公式な祝意が表明されたとは聞いていない。この際、鳩山首相は、ルラ大統領に対しリオ五輪への祝意に加え、その成功への支援を表明して、両国の友好関係増進を図るべきではないだろうか。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム