国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-09-18 09:28

(連載)「友愛」外交と国際協調(3)

角田 勝彦  団体役員
 実は、外交面ではさしたる変革はないかも知れない。緊密な日米関係維持については両国間に異論はない。鳩山代表はオバマとの電話会談などで新政権発足後は日米同盟を基軸としていくことを明確に伝えた。普遍的価値を共有する点でも、国民感情からしても、その方針は正しい。米国の衰退とG2時代の到来を説く者もいるが、軍事力一つ見ても、米国に対抗できる国はない。そもそもG2論はEUなどを忘れているし、中国自体、否定的なのである。

 「対等」については、国際法の主権平等原則もある。米国政府は、これは自民党政権を「対米追従型外交」と批判してきた民主党の建前論と見て、さきに鳩山論文問題の沈静化に動いた際も、「日本が自立志向を持つのは当然で、日米同盟と何ら矛盾するものではない。主体性は不可欠」であり、米国は支持する」と力説した(米国務省キャンベル次官補の9月2日ワシントン講演)。実際オバマ政権は日本重視の姿勢を見せている。クリントン国務長官は就任後初の外国訪問先として日本を選んだ。オバマは、就任後初めてホワイトハウスに迎え入れる外国首脳として麻生首相を選んだし、鳩山への電話で祝意を伝えた。11月には訪日が予定されている。

 日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨むとの点は、たしかに問題を引きおこしかねないが、社民党の強い意向で加えられたものであり、9月下旬のオバマとの会談で、日本側が要求リストを米側に突き付けるような強気に出ることは予想されない。米側もあえて議題にはしないだろう。インド洋での海上自衛隊による給油活動については、民主党は新テロ対策特別措置法の期限が切れる来年1月に撤退する姿勢を示しているが、3党合意に盛り込まれなかった。今後の推移によっては姿勢の変更もあり得よう。

 両国の緊密な関係を損なわないためにも、これらの懸案は、あるていど時間をかけた事務レベル中心の協議を経て、妥協を図っていくほかないだろう。要するに政権交代をあまり騒がず、平常心で個別に対処していくのが上策である。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム