国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-09-04 17:43

選挙後の自民党と民主党に望むこと

坂本 正弘  日本戦略フォーラム副理事長
 8月30日の選挙は自民党惨敗に終わったが、その総括は十分でない。選挙中、自民党側から、小泉改革への否定的見解や竹中非難が強かったが、筆者は強い違和感を持った。自民党の絶対多数は小泉改革のシンボルとも言うべき2005年の郵政選挙の当選者たちである。まず、小泉政権で幹事長・官房長官として郵政改革を進めた安部首相は、2006年秋の就任直後に郵政反対組の自民党復帰を認めたが、明らかな自己矛盾であった。麻生首相も郵政改革に反対だったといい、鳩山邦夫大臣は日本郵政に強い干渉をした。竹中大臣に対しては、アメリカの手先だとか、格差拡大の元凶だとの批判があるが、彼が、重い決断を持って行った公的資金注入による金融機関の体質改善をどう評価するのか。

 株価は2万円近くまで上がったが、どうか。日本の金融機関が今回の金融危機にもめげず、最近は海外での活動も活発化しているのは、竹中改革のお陰である。構造改革は時間がかかる。レーガン改革も、サッチャー改革も、果実を生んだのは、改革着手から10年後のことである。小泉構造改革は財政緊縮もあり、郵便局長網、建設業者、日本医師会など、自民党の支持基盤を崩した。この過程は当然に既存の利益集団の反発を招く。選挙を考えれば、「俺は構造改革に反対だった」と言いたくなる。結果としては、構造改革は中途半端になり、自民党は主導するスローガンを失い、民主党の失点を攻撃するネガチブ・キャンペインとなった。

 麻生首相の対外政策は悪くなかったが、選挙の洗礼を受けていない首相への信認は低く、各国首脳との外交でも、主導性を発揮できなかった。自民党の主導性を回復するには、理念がいる。古い支持基盤にこだわっては、将来がない。小泉構造改革路線を総括し、改めて構造改革路線を立て直してはどうか?民主党の登場は、日本国内に活性化と混乱を巻き起こしているが、当然の事態である。当面、人事が注目されるが、予算編成が今後大きな山場になると思われる。その過程で古い垢を流すことを期待したい。米国では新政権には蜜月期があるというが、変化が日本社会の活性化につながれば、幸甚である。

 ただし、問題は対外面である。ニューヨーク・タイムスに載った鳩山由紀夫代表の“A New Path for Japan”という論文は頂けない。反米、反資本主義の内容もさることながら、論理に一貫性がなく、感情的で、統合的でない。米国には鳩山代表について「経験不足の政治家」との評価があるようだが、将来の首相の論文としては、寄稿前の十分の検討が必要だったと思われる。オバマ大統領との電話会談が成功だったように思えることは幸いだが、鳩山代表は辛い国際的評価にどう対応するか?差し当たり、9月末の国連での演説やオバマ大統領との会談は極めて重要であり、論旨とともに論理が通るよう、十分検討してもらいたいものである。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム