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2009-09-04 09:44

外国人単純労働者の受入れは不要

塚崎 公義  久留米大学准教授
 日本国際フォーラムでは現在、第33政策提言「外国人受入れの展望と課題」が議論されている(http://www.jfir.or.jp/j/pr/outline/33_1.htm 参照)。これについては、「技術者や研究者などの受入れと単純労働者の受入れを明確に区別すること」、「単純労働者の受入れが不要な旨を明記すること」が必要であると考えるので、以下にその理由を述べたい。

 外国人単純労働者の受入れを議論する際に最も重要なことは、「日本は労働力不足の国ではない」という基本的な認識を持つことである。現在は不況なので労働力が大量に余っているが、それ以前に於いても労働力は不足していなかったのである。財政赤字が大問題だと言われながらも、財政再建が進んで来なかったのは何故かと言えば、「族議員が公共投資をやりたがるから」ではなく、「増税又は歳出削減(以下同様)をすると景気が悪化して失業者が増えるから」である。これを逆に言えば、もともと隠れた失業者が大量にいたため、これを財政赤字で吸収していたというわけである。そうだとすれば、「本当に労働力が不足するような時代が来たら、増税をして財政再建をしても大丈夫だ」という事になろう。

 したがって、「今後景気が回復し、少子高齢化が進んで、外国人単純労働者の受入れが必要になる」と言う人が増えてきたら、その時こそ財政再建を断行すべき時である。財政赤字が無くなるまで増税を行なって、それでも失業者が増えずに労働力が不足したら、はじめて外国人単純労働者の受入れを議論すればよい。そんな時が来るのは10年後か20年後であろう。女性や高齢者の活用を進めれば、国内の労働者不足が緩和されるので、外国人単純労働者が必要になるのは30年後になるかもしれない。

 「失業者はいるけれども、介護労働者が足りないから、介護現場に外国人労働者を受け入れよう」という声も聞かれるが、これも筋違いである。介護報酬が低すぎるから日本人が介護労働に就かないのであるから、介護報酬を引き上げて、日本人失業者に介護の講習を受けさせて、日本人失業者を介護労働力として活用するべきであろう。それにより介護関連費用が嵩むとしても、失業手当の支払いが減り、公共投資などの失業対策の必要がなくなるのであれば、トータルとしての財政赤字は増えないのではなかろうか。
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