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2009-08-19 11:39

(連載)ミクロネシア3国の沿岸警備能力強化を支援する意義(1)

高峰 康修  岡崎研究所特別研究員
 太平洋のミクロネシア3国(マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、パラオ共和国)の沿岸警備隊創設に向けた国際会議が、来年1月をめどに開催される予定である。この会議には、ミクロネシア3国の政府に加えて、日本の海上保安庁、米国の沿岸警備隊、オーストラリア海軍の関係者が出席し、沿岸警備隊創設に向けたミクロネシア3国への具体的な支援策を話し合う予定だ。ミクロネシア3国の沿岸警備能力強化を支援するこの動きの意義について、私見を述べたい。

 まず、ミクロネシア周辺海域は、オーストラリアから天然資源を日本に運ぶ重要なシーレーンに当たる。また、マラッカ海峡の迂回ルートとしても重要である。しかし、現在のところミクロネシア3国は十分な海上保安能力を有していない。したがって、利害関係国である日米豪が支援してこれらの国々の海上保安能力を向上させることは、シーレーンの安全確保という観点から極めて重要なことである。

 現在のところ、この海域では深刻な海賊被害やテロの恐れは指摘されていないが、東南アジアを拠点とするイスラム原理主義のテロ組織が同海域に進出してくる可能性は全く排除できるというわけではない。また、ミクロネシア3国が海上保安能力を高めることは、同海域での不法投棄などを取り締まる能力を高めることであり、海洋環境の保全にも役に立つ。

 日米豪が強力に関与してミクロネシア3国の海上保安能力を強化するということは、結局、日米豪の同海域へのプレゼンスを高めるということである。これは、近年急速に緊密化の度合いを強めている日米豪の安全保障分野における連携の文脈においても理解すべきであり、重要な意義を見出すことができる。日米豪が海洋国家として海洋の秩序維持に積極的にコミットする姿勢を示すことで、日米豪の海洋国家としての性格を世界にアピールするという象徴的な意味合いも持つ。究極的には、中国の存在が視野に入ってくる。(つづく)
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