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2009-07-25 15:16

(連載)民主党の政権運営はどうなるか(1)

堀 利彦  会社経営
 衆議院が解散され、きたる8月30日に総選挙を迎えます。「政権交代選挙」とも称されるように、今回の総選挙では、民主党の躍進が予想され、民主党政権の成立がいよいよ現実性を帯びてきているようです。ところで、政党政治の世界において、各政党の悲願が、やはり政権掌握にあることはいうまでもないことです。どの政党も、可能性の有無はともかく、「もし自分たちが与党になれば」という前提のもと、それぞれ政治的主張を掲げ、さまざまな政治活動を行っているからです。その意味で、政権掌握とは政党にとっての「出世」に他ならない、ということもできましょう。むろん、一般には「出世」の対象となるのは個々の人間ですが、これは政党についてもあてはまる話かもしれません。

 世間では、この「出世」をめぐって二つの考え方が存在するようです。ひとつは、いわゆる「立場が人を作る」という考え方です。すなわち、責任ある立場を任された人物は、その環境がもたらす有形無形の影響によって、その立場にふさわしい発想や行動をとることができるようになる、というものです。もうひとつが、「ピーターの法則」と呼ばれる考え方です。その昔、ローレンス・J・ピーターという教育学者が展開した理論ですが、要点は「ある人物の出世は、その人物の過去の職務における有能さを示すものではあるが、出世したあとの有能性を保証するものではない」というものです。これらの二つは、どちらが正しくて、どちらが間違っている、というわけではないでしょう。どちらに転ぶ可能性もあるわけです。

 そこで、民主党の「出世」について考えてみたいと思います。「立場が人を作る」派に立てば、民主党が政権与党になった場合、内政・外交を実質的に舵取りすることを求められる以上、おのずと野党時代の書生論議は卒業し、冷徹で現実的な施策を推し進めることができるようになる、ということになります。事実、先日公表された民主党のマニフェスト原案では、民主党がそれまで反対していた、インド洋上での海上自衛隊の給油活動や、ソマリア沖海賊対策への自衛隊派遣などを事実上承認するべく方向転換がされたようです。民主党のキメラのような体質からして、現実路線への転換がすんなりいくとは思えませんが、村山政権時代、社会党が党是であった日米安保反対、自衛隊違憲から、にわかに日米安保是認、自衛隊合憲に鞍替えした例もあります。(つづく)
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