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2009-06-30 07:39

だれも「麻生解散」を止められまい

杉浦正章  政治評論家
 自民党内反麻生勢力が「麻生降ろし」の幕を開けたが、果たして「降ろす」ことが可能だろうか。首相・麻生太郎の基本路線は総裁選挙前倒しをせず、人事も断行せず、解散に向けて中央突破の姿勢である。これを阻止するには「時間」と衆目一致の「新総裁候補」が必要となるが、間に合うか。反麻生のトップが中川秀直でやりきれるか。条件的には解散権を握る首相が主導権を握る。閣僚で解散詔書に署名拒否する動きが出るだろうか。たとえ出ても、麻生が代理署名すれば、解散できる。注目すべきは元首相・小泉純一郎の発言。チルドレンとの6月29日の会食で「これまでいろいろと厳しい選挙を経験したが、次の衆議院選挙は経験が無いほど厳しい選挙だ。民主主義なので野党になってもしかたがない」と述べた後の発言だ。「来年の参院選の頃また総選挙がある」と、衆参ダブル選挙での再起を期するよう促した点だ。小泉は読み切っている。

 つまり、じたばたしても麻生が解散に持ち込み、政権は民主党に移行するとの判断だ。その背景には自民党の選挙情勢調査で、大敗を予想させる流れが出ていることだ。反麻生の動きもすべてこれに起因している。中川が「自爆解散」と定義づける根拠も、そこにある。麻生側近の菅義偉が「100パーセント麻生太郎首相で次期衆院選をやる」と述べているのは、もう負けを覚悟で総選挙に臨む腹を麻生が固めたことを物語っている。これに対して反麻生は、どう突破口を開くのか。担ぎ出す御輿があるのか。元官房長官・塩崎恭久らの中堅・若手グループ約10人は「マニフェスト(政権公約)がない段階での解散は認められない」と、マニュフェスト作りの過程で政権を揺さぶる構えだ。自民党の各種議員連盟が30日に「マニフェスト会議」を開催するが、これがとっかかりだろう。しかしマニフェストなどは、作文次第でどうにもなる。執行部が受け入れれば終わりだ。

 それでは衆目の一致する総裁候補がいるのだろうか。お笑いなのは元幹事長・武部勤が27日、北海道稚内市での講演で「ポスト麻生」の総裁候補として、元防衛相・小池百合子と厚生労働相・舛添要一の名を挙げていることだ。確かに2人とも国民に人気があるが、党内がまとまるか。枡添は参院議員で首相候補として法的な問題はないが、議院内閣制の趣旨と矛盾する。小池は女性であり、目先が変わることを狙ったのだろう。二人とも“統治能力”があるとは思えない。「選挙の顔」を意識している点では、悪評さくさくの「東国原担ぎ出し」の発想と変わらない。有権者は、もはや「選挙の顔」でだませる段階を通り越して、自民党に怒っているのだ。

 問題は派閥の領袖らがどう動くかだ。町村派会長・町村信孝や津島派会長・津島雄二らはいまのところ政権支持だ。古賀派会長・古賀誠も「首相の手で解散」論だ。問題は、中川らの麻生批判の動きを強くけん制して、麻生を擁護してきた元首相・森喜朗が、このところと言動をストップさせていることだ。しかし、森が反麻生を助長することはまずあるまい。若手議員らに対する執行部や派閥の締め付けも始まっている。執行部から選挙応援の割り振りや選挙資金などでの圧力をかけられたら、選挙に弱い議員には苦しい圧力になる。ゴングは鳴ったものの、麻生が都議選直後にも解散に打って出たら、阻止できる力はない。
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