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2009-06-25 07:41

東国原に出る幕はない自民党総裁選

杉浦正章  政治評論家
 都議選次第で「麻生降ろし」に発展する流れの中で、宮崎県知事・東国原英夫の“総裁候補”発言が出て、事態はこんがらがっている。しかし問題を整理すると、東国原の「都議選後立候補」は、党則上も、日程的にも、不可能であり、東国原をまじえた総裁選は行えないだろう。日程的には7月28日の解散を想定した場合、その前の18日の土曜日からの三連休を活用した総裁選となることが予想される。もっとも首相・麻生太郎は、手をこまねいてはいないだろうから、解散権を行使すれば話は別だ。

 東国原のプレーアップの“猫だまし”にだまされて、自民党内には総裁選前倒しと絡めた見方がある。署名集めをしている山本拓も「東国原さんにも立候補してもらう」と述べている。しかし、山本は、党内情勢と総裁選挙の方式を理解していない。自民党は、総裁公選規程第9条で、総裁選挙への立候補資格のある者を自民党所属の国会議員であることと定めている。さらに立候補するためには、20人の党所属の国会議員の推薦が必要である。東国原はまず国会議員になってからでないと、その“野望”を達成できない構図になっている。

 それでは、総裁選規定を改正できるかと言えば、ほうはいとしてわき起こった選対委員長・古賀誠批判が物語るように、まず不可能だ。東国原はスポーツ紙トップと民放テレビの話題をかっさらうために、大芝居を打ったのだ。古賀と東国原は23日の会談後料亭で懇親しており、古賀の東国原を出馬させるという話と、東国原の大風呂敷は、いずれ「将来の総裁候補」あたりを落としどころに調整される流れだ。古賀は「なんとしても口説き落とす」と述べており、出馬には持ち込める可能性が高い。しかし、都議選後に総裁選が行われた場合には、間に合わない。いずれにしても国会議員になってからの話だ。

 都議選について麻生は、24日夜の与党幹部との会合で「与党候補はいい戦いをしている」と述べ、自民、公明両党での過半数獲得に自信を示した。過半数を達成した場合には、文句なしで7月12日の都議選直後に解散に踏み切るかも知れない。しかし敗北の場合には、「麻生降ろし」に確実に火がつく。総裁選前倒し実施に必要な216人の署名は一挙に集まるだろう。そうなれば、麻生がそれこそ「やぶれかぶれ解散」に打って出ないかぎり、自動的に総裁選となる。日程的には会期末に新総裁の手による解散を想定した場合、サミットを終え、都議選を終えたあと、会期末の28日までには総裁選をしなければならない。となると、3連休の18,19,20日を活用することになるだろう。もっとも総裁選は緊急性のある場合には両院議員総会のみで選出可能であり、その場合はこの日程は前後にずれる可能性もある。いずれにしても、総裁選の候補は、衆参両院議員がその資格を持ち、東国原が出る幕はない。
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