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2009-06-10 09:28

(連載)天安門事件20周年にあたり思う(2)

藤井 厳喜  ケンブリッジ・フォーキャスト・グループ・オブ・ジャパン代表取締役
 そもそもシナ政府がトウ小平以来主張しているところの「社会主義市場経済」とは一体なんであろうか?共産党の使う言語は、我々常識人の使う言語とは全くかけ離れているので、これを深く分析してみる必要がある。「社会主義市場経済」における「社会主義」が意味するのは、福祉政策の充実ということではなく、シナ共産党があくまでも一党独裁の権力の独占を続けていくという意志の表明である。これに続く「市場経済」とは、我々が先進国で知っているような自由な企業や自由な個人の作り出す自由な経済という意味では決してなく、共産党管理下における唯物論的な、そして、拝金主義的な経済発展ということである。

 つまり、総括して言うならば、「社会主義市場経済」とは、共産党一党独裁下における拝金主義の蔓延ということに他ならない。もう少し詳しく言うならば、シナ共産党はシナ人の政治的自由を抑圧しつつ、その安価で豊富な労働力を外国企業に無制限に提供する。その安価な労働力は共産党管理下にあるので、決して政治的な叛乱を起こすことはない。そこで、その安価で豊富な労働力を利用したい外国企業は、シナに進出し、共産党幹部と癒着し、その利益を共有しながら、経済活動を続けることが出来る。これらの進出企業は、シナ共産党幹部と密着する事により、膨大な企業利益を上げることが出来るのだ。

 共産党が大衆を政治的にコントロールしているがゆえに、外国企業は有利なビジネスを続けることが出来るのであり、共産党幹部と進出企業は必然的に共犯者の関係になる。共産党管理下のシナにおいては、「市場経済」というようなものは実は存在していない。そこにあるのは共産党幹部の管理の下における拝金主義の蔓延である。広い意味の自由な個人と企業の創造性や法治主義を前提とした近代的な「市場経済」はシナには微塵も存在しない。我々が普通思い浮かべるところの「市場経済」はシナには今日といえども存在していないのである。

 シナ以外の国においては、開発独裁が経済発展を保障し、経済発展が中産階級を生み、中産階級が政治的民主化を要求し、開発独裁の克服に成功した、というプロセスが現実に作動している。例えばフィリピンのマルコス政権は民主化され、チリのピノチェット政権も民主化された。韓国ですらある程度、このプロセスは機能した。ラテン・アメリカ諸国においては概ね開発独裁は、レーガン大統領とブッシュ・シニア大統領の時代に、民主的政権へと転化していった。(つづく)
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