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2009-05-27 07:38

総選挙後は“百鬼夜行”の状態となるか

杉浦正章  政治評論家
 ぐずぐず辞任を引き延ばした「なんとか一郎」が、「なんとか太郎がぐずぐず解散延ばした」と批判しているが、泣いても笑っても夏の総選挙は避けられまい。ここに来て自民、民主両党の間で勝敗見通し論議が盛んだが、総じて自民敗北の見方が強い。しかし民主党が単独過半数を取れるとの見方は少なく、比較第一党の民主党中心の野党連立政権になるとの分析が強い。しかし自民中心の連立が不可能とも言えまい。選挙後の展開は、まだ誰も予測がつかないのが実情だ。いまの政治現象で特異な傾向は、衆院選としては有権者の自民党離れが、選挙史上珍しいくらいの勢いで進んでいることだ。

 つまり「政権交代志向」の流れだ。この流れは「小沢問題」で一時ブレーキがかかったものの、一応同問題が除去されて、回復しつつある。あらゆる報道機関の世論調査が、少なくとも比例代表では民主党に投票するとの回答が、自民党への回答を上回っている。比例だけでなく「次の選挙の投票行動」の設問にも、民主党を上げる例が多くなっている。驚くべきことに「比例で自民に投票」は「小沢問題」の2か月間も流れが変わらなかった。比例票に「自民党」と書かないというのである。しかし衆院選挙の場合比例票が小選挙区とは連動しない。したがって小沢が目標としているように、小選挙区で150議席を獲得できるかどうかは分からない。比例で雪崩現象が起きても、小選挙区での雪崩現象に連動するかどうかはまだ未知数だ。

 民主党選対委員長の赤松広隆が26日夜「比較第1党は取れるが、単独過半数には足りない。社民党や国民新党、無所属などと合わせて、過半数の241議席をクリアしている状況ではないか」との分析をしているのは、正しいかも知れない。幹事長・岡田克也の発言「単独過半数を目指す。届かなかったとしても、他の野党と協力し、政権交代を必ず成し遂げる」は、その辺の認識を反映したものだろう。もっとも1月時点の民主党の調査では、270から280議席という数字が出ており、予断は出来ない。自民党では早くも「負け」を予測する声が出始めた。報道によると元幹事長・中川秀直は26日夜の会合で「政権交代への機運は強く、いつ選挙をやっても自民党は負ける。来年は民主党を解散に追い込んで、衆参同日選挙だ」と漏らしている。

 たしかに圧倒的支持率でスタートした細川政権は8か月で退陣に追い込まれたが、自民党としてはそこに希望をつなぐしかないのかもしれない。選挙後は民主党を中心に、社民党、国民新党と手を組めば過半数に達するか、それとも公明党を引き込めば達するかなどの状況が生じるだろう。一方自民党は、公明党との連立で過半数を実現できるかどうかが焦点だ。「出来ない場合は、悪魔とでも手を組むか」と冗談めかして、連立に共産党も引き込む説がある。それが出来れば日本版「国共合作」だが、社会党との自社連立政権を成し遂げた梶山静六はいまはない。まさに選挙後は“百鬼夜行”の状態が生じてもおかしくないだろう。
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