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2009-04-13 07:56

テーマ別に衆院選の勝敗度を予測する

杉浦正章  政治評論家
 1、2カ月後解散の可能性が強まっている中で、選挙戦の様相は、自民対民主両党決戦の色を濃くしている。選挙テーマごとに両党の対応には有利不利があるが、報道機関の世論調査に判断と推定を加えて選挙の争点ごとの両党の力量を数字にしてみた。その結果の予測は、自民32対民主28の大接戦となりそうな雲行きだ。民主党代表・小沢一郎が早期に辞任して、清新な党首を実現させれば、民主党有利に逆転しそうな雲行きもある。

【党首の適格性=麻生6対小沢4】
 最新の毎日新聞の調査では、「小沢辞任すべし」がなんと72%に達した。首相への適格性でも、麻生太郎が逆転リードし始めた。中央紙の調査は同様の傾向を示している。いかに小沢のまま選挙戦に突入することが不利かを物語る。もし小沢が早期に続投を断念し、清新な候補が実現した場合、麻生がかすんで民主党候補と逆転するだろう。例えば麻生4対岡田克也6となるだろう。逆に続投を続ければ、結果は千葉・秋田両知事選敗北が物語るとおりだ。

【景気対策=自民7対民主3】
 政府・与党が15兆円、民主党が20兆円の景気対策を打ち出したが、問題は財源。政府は赤字国債の発行を主柱に据えているが、民主党は相変わらず「無駄遣いの排除」が財源。確かに天下り批判と結びつき、響きはよいが、誰も無駄の排除で20兆円の予算の大半をまかなえるとは思わない。虚構性があって、信用できない。与党に有利なのは、国会で補正予算を通した上での解散であり、その流れになるのは確実。どちらもばらまき型であることには変わりはない。

【北朝鮮対策=自民8対民主2】
 北ミサイルに対する迎撃態勢も、外交姿勢も、圧倒的多数の国民が内閣を支持する傾向であり、選挙で有権者に訴えれば、与党側にとって好材料。有利に作用することは間違いない。とりわけ民主党は、旧社会党左派を抱え、北朝鮮問題でも対応がぎこちない。民主党は衆院の弾道ミサイル発射の自制を求める決議でも、国連決議違反とする部分の削除をしている。中国・ロシアと似た主張であり、いささか常識を外れている。

【外交・安保・防衛論議=自民6対民主4】
 小沢は米国重視を言いながら、反米とも受け取れる姿勢に終始している。「給油反対」は駐日大使候補のジョセフ・ナイ教授から「マニフェストに明記されれば、反米とみなす」とくぎを刺されている。オバマ政権の重要な公約であるアフガニスタンへの兵力増派についても、反対の姿勢を鮮明にさせている。とりわけ重要なのは、小沢の「軍事戦略的に米国の極東におけるプレゼンスは、第7艦隊で十分だ」発言。意外なことに初歩的な日米安全保障の構図すら理解していないことを露呈してしまった。

【内政=民主8対自民2】
 後期高齢者医療制度や消えた年金、消した年金、官僚天下りなど、民主党のおはこ芸が奏功している。しかし、これも小沢の“続投”イメージの悪さで説得力に欠け、以前よりかすみ始めている。逆に政府の「高速道路日曜祭日1000円」策が当たり、評価を受けている。定額給付金も、結果としては選挙にタイミングが合う形となり、マイナスの作用はないだろう。しかし、いったん自民党離れをした高齢者がそう簡単に戻る可能性は少ない。内政では民主党ペースが続いていると見るべきだろう。

【変革の潮流=民主7対自民3】
 長期にわたる自民党政権の歪みが各所に露呈されて、有権者の意識や動向は政権交代志向に流れがちだ。多くの中央紙や通信社の調査でも、小沢続投のマイナス要素にもかかわらず、「民主党中心」の政権を求める結果が出ている。これを小沢が一人でブレーキをかけているのが現実だ。小沢が変われば勢いを取り戻すことは、自明の理なのだが。
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