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2009-03-25 07:54

小沢続投は、政党史上まれにみる“誤判断”だ

杉浦正章  政治
 自らの続投を「国民が判断すること」と民主党代表・小沢一郎が強調したが、判断を待つまでもない。国民の判断の象徴である25日付全国紙の社説は、“小沢辞任”で一致している。火を見るよりも明らかなことに踏ん切りがつかない。本来“私闘”であるべき小澤の決断を支持した民主党執行部も併せて、同党は政党史上まれにみる“誤判断”をしたことになる。自民党に補正成立後の会期末解散論が勢いを強め始めたのも、「小沢続投」を絶好のチャンスと見ているからにほかならない。小沢の記者会見のポイントは「私が続けることのプラス・マイナスを、私が判断することはできない。すべて国民が判断することだ」と述べた点に尽きる。そこから新聞各社は「当面続投の意思表示」と受け止めた。しかし筆者は、涙を流して情緒に訴えたことも考え合わせると、隙あらば続投を定着させようとする狙いが、ありありだと見る。

 しかし、前から言っているように、小沢は“トラバサミ”にかかったのである。この政治状況から抜け出すことは、極めて困難だ。小沢の言う「国民の判断」とはどういうものかと言えば、新聞の社説がまずあげられる。加えて各社が行う緊急世論調査。そして当面予定される千葉県知事選など、大きな地方選挙の結果だ。まず新聞の社説は、全紙続投に疑問を投げかけている。朝日新聞は「小沢代表は身を引くべきだ」と題して、「変革を訴える党の党首として、小沢氏がふさわしいとは思えない。国民の大方が納得できる説明を尽くせないのなら、代表から身を引くべきだ」と明快に辞任を主張。加えて、「情けないのは、小沢氏の政治責任にほとんど触れようとしなかった民主党議員たちの姿だ」と、続投を容認したことに憤まんやるかたない立場を明らかにしている。

 毎日も「政権交代実現のために、小沢氏が辞任して早くけじめをつけた方がいい、とは考えられないのだろうか」。読売も「民主党の小沢代表が続投を表明したことを、すんなり納得する人は少ない」。産経は見出しで「小沢氏続投は通らない」とやっている。新聞の社説が重要なのは、民放テレビのニュース・キャスターやコメンテーターたちが社説のおうむ返しをするからだ。あんまり読まれない社説の論理構成を“拝借”すれば、「自らの判断力のなさを試されなくて済む」。レベルは低いが、これが今の日本の世論を形成するポイントだ。世論調査は小沢の秘書逮捕以来、民主党の支持率を減らしており、「続投」はさらに下げる要素となる。とりわけ「首相になってほしい候補」で一時トップを走っていた小沢は、見る影もなくなった。

 記者会見で小沢が「民主党が政権を取れば、首相に就くか」と聞かれて、「その責任を果たすのは当然だ」と答えたことは、世論調査では“拒絶反応”として現れると思う。それだけクリーンな政治への期待が強い、ことが分かっていないのだ。29日投開票の千葉県知事選挙は、共同通信社の世論調査によると、自民党が支持する元衆院議員の森田健作がリードしている。このまま逃げ込めそうな状況だ。要するに、すべてが小沢にとって「凶」と出ているのである。ようやく民主党内でも続投批判が出始めたが、衆院議員・小宮山洋子の「謝りながら、言い訳しながら、の選挙では勝てない」という悲痛な声がすべてを語っている。小沢の私闘を抱きかかえて沈没してどうするのだろうか。はっきり言えば、クリーンな岡田克也への交代が早ければ早いほど、民主党は持ち直す。駆け出し記者にも分かる話だ。
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