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2021-04-05 14:41

SDGsもからめると、どういう形になりますでしょうか?

山根 喜久子 桜美林大学大学院国際協力専攻修了 奉仕団体賛助会員
 不透明化する国際政治の中において、「日本におけるSDGsの役割」はやみくもに広がっている気がするのは気のせいでしょうか? そもそもゴール(目標)が17あり、これ自体も広がりすぎています。しかしながら、全ての人々の行動に何かしらが必ず触れるように、つまり、世界の危急の課題に対し「全ての人類がなんらしかの取り組みからの貢献もできる大きな目標である」と思います。

 SDGsは2015年採択、2016年スタート、2030年までの国際目標です。たった15年間しか時間がないというのにバタバタとSDGsと紐づけた、例えば予算組みなど、急に増えてきているようです。SDGsにはさまざまな流れがあり(たとえばESG関連やGRIFによるESG投資推進)、企業では取り組みが始まってきています。しかし、15年しか時間がないというのにこれに費やす人材、経費および頭脳を働かす時間など、なかなか進めるのが難しい面がみうけられます。

 政府による「おしきせ」ではなく、やはり、生まれてきたからには自分たちで自分たちを見つめる、そうした部分がはっきり見えないとむずかしいのではないでしょうか。もちろん、「持続可能」という観点からするともともと日頃から自治体や企業などが行っていたこととリンクしている部分も見られます。そうなると、それらは一自治体が行っているという意味ではなく、「国際目標」に取り組んでいたという意味になり、これは大変PRになるとは思うのです。しかしその一方、私たちは住んでいる自治体に税金を納めていて、その自治体職員がSDGsができる以前から行っていることをわざわざSDGsに紐づけるために課を新設したり、そのための勉強会を開いたりする時間は、市民の対応をその分とられているわけですから、おざなりというわけではないですが、進まない部分というか影響がでてくると思われます。
 実際、コロナ禍の住民への支給が遅れた自治体もありました。こうしたとき、たとえばその自治体にSDGsに紐づけられた部署があるかどうかまでは確認しておりませんが、そのための時間をさくよりもこの支給への対応への応援のほうが火急だったのではないかと、ふと個人的には思ったりします。もちろん、SDGsは、国際目標でありますが、ここの点はかなり難しいのではないでしょうか。外交政策としての観点もあります。

 「誰も置き去りにしない」世界は大切ですが、その前にいまは自分すら置き去りにされてしまいそうなコロナ禍です。15年後(もっとももう約10年後)からみたバックキャスティング、さらに目標を明確化するSDGsはとても良いとは思います。実際「サステナビリティ」という言葉は美しく響きます。

 しかし、コロナ禍であるのにその宣伝のための展示品などにかかるお金を考えると、もちろん投資的経費というものは大切ですが、あがる一方の年金払い込みをしながら「腑に落ちないな」と思う時もあります。現状として、15年後というのは遠い未来ではない、コロナ禍を乗り越えなければならない時期であり、足元を見つめるためにも「不透明化する国際政治」にSDGsもからめるとは、どういった見解をお持ちなのでしょうか。それでなくても、自治体は財政難ですから、行っていないSDGsなら分かりますが、そもそも行っているサステナブルと考えるとなかなか難しいように感じます。

 そうした中、日本政府はSDGsのアクションプランの内容を濃くしていってます。さらにどんどん、例えば地方自治体の進捗度も内閣府はアンケートに回答した自治体の答えを公開し始めています。こうなると、SDGsは自主的なものといっても取り組みの必要性が深まり、ことわれない面も出てくると思います。そもそもこここは政府と自治体の構造関係でもあります。加えて、ステークホルダーとの関係性ももちろんあります。

 しかし、結局「行う」には個々の人間が強靭になれるかどうかです。政治家が地球と住民のために本当に立ち上がっているのか、日本に住まう年金を払う人たちの支払額はいつになったら上がらないですむのか。

 SDGsについて賛成なのか反対なのか、個人的にはこれが一番の課題のような気がしております。アクションプランはある一定の規定をもって広げすぎず、もっとこれからはしぼったほうがよいのではないかと思うふしもあります。繰り返しになりますが、期間が2030年までだからです。そして、同時進行で気候変動に対して進行していることもあります。ですから、SDGsはある程度までのスペシャルなものとして掲げ、そこまでにするというのも方向性のひとつとしてかんがえられるのではないかと思います。

 どう思われますでしょうか?

 どんな自治体も企業も、ガタイを支えるのは一人ひとりの人間です。政治家もひとりの人間です。そして、駅の改札やスーパー、朝の散歩、スポーツ、ごみ出しなど必ずどこかで会うものです。一人ひとりの生活が成り立たないと、そこに住めない人、会社に通うのをやめてしまう人も少なからず発生しますでしょう。あすの日本をおもうとき、「SDGsとは何か」とそのメリットだけでなく、デメリットもつぶさに見つめなければならないと思うのです。

 SDGsは、民間にできることが多いのであれば、自治体が予算をSDGsにさくよりは企業のブランディングにおまかせして、その分をいまとどまっている政策の進行を早めることにさくことの方が、ある意味SDGsであるのではないかと私は思うのです。
注ただし、SDGs未来都市に選定されますと、その自治体には地方創生推進交付金、自治体SDGsモデル事業には国の補助があります。

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