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2016-08-25 00:07

不透明化するこれからの国際政治

小沢 一彦  桜美林大学教授
 アメリカの大統領選、英国のEU脱退、BRICSの経済低迷、世界的経済需要の減退、中国の拡張主義など、様々な国際的な諸問題が我々の眼前に控えている。そこで、国際政治を客観的に分析する枠組みとして、「政治のダイヤモンド」を提案したい。それらは(1)存在条件、(2)利害関係、(3)行動能力、(4)イデオロギーの4要素をダイヤ型に配したものである。

 このカテゴリーで主要国を分類すると、アメリカは世界の警察官、覇権国家、多民族国家、世界的通商貿易国家、金融財政政策の差配者、自由民主主義の砦などに該当する。「強いアメリカ」「偉大なるアメリカ」を掲げる排他主義のドナルド・トランプも、民主党の歴代政策を繋げていきたいヒラリー・クリントンも、大統領選挙候補者はともに外交機密文書や「パナマ文書」の流出に怯えている。中東政策の見直しやTPPへの反対などでは、両候補者ともに「鎖国的」「内向き」の対外政策をとって来るだろう。

 これに対し、ロシアは、(1)の「存在条件」で巨大な面積の国土の防衛コストを負担し、世界市場価格の下落で資源外交が破綻し、西側諸国の包囲網もあり、手詰まり感が否めない。(3)の「行動能力」に関しても、近場のウクライナ西部やクリミア半島の軍事的占拠もしくは中東シリアでのアサド政権の支持が見られる程度だ。(4)「イデオロギー」的には国家資本主義、プーチン主義、ロシア正教会などの政治路線に依存している。

 中国は歴史的再台頭期に入っている。面積はアメリカとほぼ同様だが、人口の13億人は対外的圧力になっている。また世界中に拡散している「グレーター・チャイナ」の華人・華僑は、情報網ともなっている。中国は、経済発展により、軍事的投資も進み、明らかに(2)の「行動能力」は増している。(1)「存在条件」については、大陸国家であった過去と決別し、西太平洋を視野に入れているが、逆に弱点としては、チベットや新疆ウイグルの問題がある。これらを今後いかに平和裏にコントロールできるかが問われる。経済関係としては、人件費の高騰や国内の経済格差の是正ができていないこと、労働集約的企業ばかりで創造的企業がないこと、さらには大気汚染や砂漠化などの公害問題に悩まされていくことであろう。
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