国際政経懇話会

第259回国際政経懇話会メモ
「安倍政権の外交」(メモ)

 第259回国際政経懇話会は、谷口智彦・内閣官房内閣審議官を講師に迎え、「安倍政権の外交」と題して、下記1.~5.の要領で開催されたところ、その冒頭講話の概要は下記6.のとおりであった。

1.日 時:2013年10月17日(木)正午より午後2時まで
2.場 所:日本国際フォーラム会議室
3.テーマ:「安倍政権の外交」
4.講 師:谷口 智彦 内閣官房内閣審議官
5.出席者:36名

6.講師講話概要

 谷口智彦内閣官房内閣審議官の講話概要は次の通り。その後、出席者との間で活発な質疑応答が行われたが、議論についてはオフレコを前提としている当懇話会の性格上、これ以上の詳細は割愛する。

安倍総理の健康問題と仕事への取組み

(イ)安倍総理は潰瘍性大腸炎に10代後半から苦しんでおられたが、円高のお蔭でスイス企業を買収した日本の製薬会社が販売を開始したASACOLという薬により劇的に回復した。その結果、総理としての復権という「セカンドチャンス」を自ら体験することになり、それが、個人的な自信としてだけでなく、いまや日本という国についても「セカンドチャンス」を実現する自信となっている。オバマ大統領との会談においても、総理はまずこの体験から話を始めたが、米側は話に引き込まれたと、ルース駐日米国大使も述べていた。
(ロ)こうして総理そして菅官房長官の寝食を忘れての仕事への取り組みが始まり、そのやる気は閣僚・官僚等へも波及効果となって現れている。
(ハ)経済・産業政策・外交・安保すべての案件が重要であるが、これらの案件は、相互に intertwined されている。総理は、原発問題を含め、すべての問題を総合的な視野のなかに収めて取り組んでいる。

安倍外交の特色

(イ)総理は、(a)外交の地平(horizon)を拡大したい、(b)国際公共財の保持者としての旗を掲げたい、(c)日本の戦略空間である「skyscape」 「seascape」 「landscape」に一度に取り組みたい、と考えている。
(ロ)外交を近隣関係を主に眺めていると、ともすれば閉塞感を抱きやすい。このたび総理は、世界を飛び回って、一気に露、英、仏、中東、ASEAN等各国の首脳と会い、日本外交のホライズンを拡大した。とくに、プーチン露大統領、シン印首相、オランド仏大統領等との首脳外交は、友情に結実している。
(ハ)「seascape」の拡大を意識した日本外交の成果としては、ベドウィンの国サウディが実は紅海とアラビア湾を擁する重要な海洋国家であることを踏まえた日「サ」協力の可能性の展望や、英国のヨーク公(エリザベス女王の第2王子)来日の機会に第1次大戦中の地中海での日英両国海軍の協力を話題にしたことや、仏のオランド大統領がフランスの太平洋におけるプレゼンスを改めて強調し、日本としてこれを大いに歓迎したことなど、を指摘することができる。
(ニ)今日の文脈の中でさらに大切なのは、宇宙とサイバー空間を含む「skyscape」での取り組みであるが、これは米国が日本を頼りにする重要な材料となっている。民主主義で透明なガバナンスをもち、かつGPSレジームにいる国となると日本しかないからだというのが、その理由の一半。
(ホ)国際公共財に関しては、国際社会において民主主義と自由主義にコミットした国として、日本は国際公共財の保持者としての道を進み、責任を果たしたいと考えている。世上、「価値外交」とよく言われるが、価値そのものが目的なのではなく、その価値を使って何をしたいかということが重要である。

2020年オリンピックと日本

(イ)オリンピック招致に成功したことの意味は、「7年先に明るい目標ができた」ということである。40歳くらいから下の世代の日本人は、その人生で「昨日より今日、今日より明日が、よりよい日であった」という経験がない。若い日本人に、そのような上り坂を登る経験をさせてやりたい。これからの20年、日本を取り巻く外的環境は最も予測不能になる恐れがあるが、その最初の7年間において、「明るい、良い国にしたい」という気持ちが、錨のように日本人の心を支えることの意味は大きい。ボラティリティーの低い日本を実現しやすくなったという意味である。
(ロ)こうした中で、総理は国連総会演説において女性のエンパワメントに多くの時間を割き、またウーマノミクスについて『The Wall Street Journal』に寄稿した。21世紀型の問題群に取り組む力をもち、そのことで頼りにされるとともに、敬意を集める国にしたいと願っているわけである。


(文責、在事務局)