まえがき

 当フォーラムのセミナー「海洋国家日本:その文明と戦略」(略称「海洋国家セミナー」)は、冷戦終焉後の世界において各国あるいは各地域が、一面においてグローバリゼーションの流れに身を委せつつも、他面においてむしろその故にかえって己のアイデンティティを再確認しようとしていることに注目し、一昨年度(第1期)においては、「日本のアイデンティティ:西洋でも東洋でもない日本」というテーマを追求した。続く昨年度(第2期)においては、そのような自己のアイデンティティを確認した上で、その基盤の上に立って進むべき方向を考えることが重要であるとの観点から、「21世紀日本の大戦略:島国から海洋国家へ」というテーマについて考察した。
 本年度(第3期)においては、過去2年間の成果を踏まえた上で、「海洋国家日本の構想:世界秩序と地域秩序」というテーマにつき、1年間にわたり当フォーラム会員を中心に学界、言論界、政界、経済界など各界から23名のメンバー(巻末資料「第3期『海洋国家セミナー』メンバーリスト」参照)の参加を得て、4回の「自由討論会合」、南西海域方面への「海洋事情視察団」の派遣等の活動をおこない、さらに上記「自由討論会合」の成果を集大成する形で単行本『海洋国家日本の構想:世界秩序と地域秩序』(日本国際フォーラム叢書)を刊行した。
 この第3期「海洋国家セミナー」円卓報告討論会「海洋国家日本の構想:世界秩序と地域秩序」は、本セミナーの1年間の研究活動を総括する形で、2001年2月2日に東京で当フォーラムの会員を中心とした103名の参加者を得て開催された。単行本『海洋国家日本の構想:世界秩序と地域秩序』(日本語版および英語版)が席上配布されたため、この本を討議資料として、さらに突っ込んだ議論が行われることになった。また、その成果は2001年2月8日付『読売新聞』の第28面および第29面の全面を使って詳細に報道されたほか、2月19日付『The Daily Yomiuri』、2月7日付『日本海事新聞』においても報道された。本報告書は、このような円卓報告討論会の成果を、その速記録を中心にとりまとめ、当フォーラム会員を中心とした関係各位のご参考に資するため、印刷に付したものである。
 なお、明年度の第4期事業としては、第1期から第3期までの全テーマを総括するシンポジウム「海洋国家日本:その文明と戦略」の開催を予定している。
 なお、本セミナーの実施にあたっては、読売新聞社の協賛、日本財団の助成を受けている。この機会を借りて改めて感謝の意を表したい。

2001年3月15日
  [財]日本国際フォーラム
   理事長 伊藤 憲一

 

セッション I で基調報告する森本哲郎メンバー(左より3人目)
セッション II で基調報告する岡崎久彦メンバー(左より3人目) 白熱した議論に耳を傾ける会場ゲストたち