まえがき
 

 当フォーラムは、冷戦の終焉後、アメリカの力が後退し、中国の力が台頭してくる21世紀において、日本が対米従属か対中従属かのジレンマに追い込まれないためには、自らの力を強める必要があり、自らの力を強めるためには、西洋(欧米)でも東洋(中国、インド)でもない日本の独自のアイデンティティを確認し、その基盤のうえに国民的目標を樹立する必要がある、との認識に基づいて、学界、言論界、政界、経済界など各界から幅広い人材の参加を得て4年間にわたり多角的観点から徹底的な討論をおこない、さらにその成果を広く国民一般に公開し、国民意識の啓蒙に資することを目的として、セミナー「海洋国家日本:その文明と戦略」(略称「海洋国家セミナー」)を企画、組織した。

 本年度はその第1期事業として1年間にわたりセミナー・メンバー27名(巻末資料参照)の参加による4回の「自由討論会合」、瀬戸内海方面への「海洋事情視察団」の派遣等の活動をおこない、さらに上記「自由討論会合」の成果を集大成する形で単行本『日本のアイデンティティ:西洋でも東洋でもない日本』(日本国際フォーラム叢書)を刊行した。
この第1期「海洋国家セミナー」の円卓報告討論会「日本のアイデンティティ:西洋でも東洋でもない日本」は、本セミナーの1年間の研究活動を総括する形で、1999年2月17日に東京で当フォーラムの会員を中心とする99名の参加者を得て開催された。

 単行本『日本のアイデンティティ:西洋でも東洋でもない日本』が席上配布されたため、この本を討議資料として、さらに突っ込んだ議論が行われることになった。

 本報告書は、この円卓報告討論会の成果を、その速記録を中心にとりまとめ、当フォーラム会員を中心とした関係各位のご参考に資するため、印刷に付したものである。

 なお、本セミナーの実施にあたっては、読売新聞社の協賛、日本財団の補助を受けている。この機会を借りて改めて感謝の意を表したい。

            1999年3月25日
[ 財]日本国際フォーラム
理事長 伊藤 憲一

セッションIで基調報告する西部邁メンバー(右より2人目)

セッションIIで基調報告する北岡伸一メンバー(中央)

白熱した議論に耳を傾ける会場ゲストたち