-経済システムとしてのアジア-

まえがき

 世界各地で地域統合の動きが顕在化してきているなかで、東アジア地域だけはその流れの圏外にあると言われてきた。東アジアは政治体制、経済発展のレベル、文化、宗教、歴史などが多様で、多国間協力の枠組み作りは難しく、ましてや欧州連合(EU)のような地域統合は不可能であると考えられてきたからである。

 しかし、この東アジアにおいても、とくに1997年の東アジア金融危機を経験したあと、地域統合への大きなうねりが生まれている。1998年のASEAN+3(日中韓)首脳会議の発足が大きなエンジンとなり、2000年の首脳会議では、「東アジア・サミット」の実現、そして将来的には「東アジア共同体」の実現を目標とすることで合意がなされた。いまや、通貨・金融協力、貿易・投資における協力に関する様々な構想が提起され、さらに将来の政治・安全保障協力にも踏み出そうとしている。

 当フォーラムは、このような東アジア統合の流れを捉え、昨年度から2年間にわたり大型研究プロジェクト「アジアとの対話:アジアの中の日本とその役割」を実施してきた。昨年度における、「政治システムとしてのアジア」に引き続き、本年度は「経済システムとしてのアジア」をテーマとして、短期・中長期的アジェンダを整理し、今後の東アジアにおける地域協力の方向性と、日本が具体的に果たす役割について、「アジアとの対話」を重ねてきた。

 第2年度である本年度においては、山澤逸平教授をリーダーとする日本側コア研究会による「研究会合」「アジア各地へのフィールドトリップ」の後、コア研究会提言「日本からの発信:経済システムとしてのアジア」が作成、発表された、2003年12月8日に東京で国際ワークショップ「アジアとの対話:アジアの中の日本とその役割−経済システムとしてのアジア−」が開催されたのは、このような「アジアとの対話」を総括するためであり、このワークショップには、中国から徐長文中国商務部国際貿易経済協力研究院アジア太平洋地域研究センター主任・研究員、韓国から柳相榮延世大学国際学大学院教授、そしてASEANを代表する意味でタイからジュアンジャイ・アジャナントチュラロンコン大学経済学部助教授がそれぞれ参加して下さった。

 当日はコア研究会提言「日本からの発信:経済システムとしてのアジア」に対し、3人のアジアからのパネリストたちよりいわば「アジアからの返信」が発表され、その後日本国際フォーラム・メンバーを中心とする87名の会場の参加者との間で率直な意見交換が行われた。本報告書は、このような国際ワークショップの成果をその速記録の形でとりまとめ、当フォーラム会員を中心とする関係各位のご参考に資するため、印刷に付したものである。なお、本報告書の内容は、当フォーラムのホームページ(http://www.jfir.or.jp)上でもその全文を紹介している。

 なお、本プロジェクトの実施にあたっては、讀賣新聞社の協賛と日本財団の助成を受けた。この機会を借りて改めて感謝の意を表したい。

第Ⅰセッションで基調報告する
木下俊彦メンバー(右より2人目)
第Ⅲセッションで基調報告する
山澤逸平リーダー(右より2人目)
白熱した議論に耳をかたむける
会場の参加者たち

2004年3月1日

財団法人日本国際フォーラム
理事長兼所長 伊藤 憲一

 

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