審議中の政策提言

「中東情勢の推移と国際政治の動向」
第2回政策委員会メモ

2014年1月28日
公益財団法人日本国際フォーラム事務局

 「中東情勢の推移と国際政治の動向」に関する第2回政策委員会が下記1.~4.の要領で開催された。なお、報告者である山内昌之当フォーラム参与・東京大学名誉教授より、事前に基調報告レジュメ「中東と米国との関係変化」が配布された。

1.日 時:2014年1月28日(火)午後2時より午後4時半まで
2.場 所:日本国際フォーラム会議室
3.出席者:山内昌之当フォーラム参与・東京大学名誉教授を報告者に迎え、伊藤憲一政策委員長他政策委員30名が出席。

4.審議概要

(1)伊藤憲一政策委員長の挨拶

 冒頭、伊藤政策委員長より、「本日は、『中東情勢の推移と国際政治の動向』との大テーマのもとで、とくに『アラブ中東諸国の動向』を切り口にご報告いただく予定である。昨年11月11日の第1回政策委員会では、田久保忠衛当フォーラム理事を基調報告者に迎え『オバマ政権の動向』について、オバマ政権の足がぐらついているのではないか、それは単にオバマ政権だけの問題なのか、米国という国の外交の問題なのか、について掘り下げた議論をした。そのような国際政治の変調というべきものが端を発したのは、『アラブの春』といわれる現象が連鎖作用のように広がってきているためであり、第2回政策委員会ではその原点ともいうべきアラブに目を戻し、その動向を入り口として世界秩序の維持と形成、米国の役割を含め、国際政治全体のルール・オブ・ザ・ゲームの変化について議論したい」との挨拶があった。


(2)山内昌之当フォーラム参与・東京大学名誉教授

 つづいて、山内昌之参与よりつぎのような基調報告がなされた。

(イ)中東の現状と2014年
 2014年においても東アジアと並んで国際緊張の焦点にありつづけるだろう。昨年暮のオバマ大統領のシリア問題におけるロシアとの妥協や、P5+1(安保理常任国+ドイツ)によるイランのウラン高濃縮化停止と経済制裁の一部解除等のプロセスをみると、オバマ大統領が対イラン政策において「前向き」と考える合意、あるいはメルケル独首相やプーチン露大統領による合意が、果たしてサウジアラビアを始めとした湾岸諸国にどう映るのかは別の問題である。
 中東では独りよがりな政策は、ますます域内の暴力を熾烈化する。グローバリズムで平和を語るのは主観的には結構だが、地域的にはそうした主観性が必ずしも平和や非暴力にはつながらない。欧米、とくに米国の政治家が短期的かつ大きなイシューとしてイランとの合意達成するような感覚で中東外交を行うと、中東の域内事情をさらに複雑化させ、そしてそれは果たしてノーベル平和賞の名に値するものなのかどうかという疑問も出てくる。昨年暮れの問題の多い政策は3つである。1つはエジプト政府によるムスリム同胞団のテロ集団指定である。ムスリム同胞団は合法分野として、社会福祉や無料法律相談、医療相談を実施し、政府の厚生福祉行政や医療行政の欠陥を補う民間のボランティア活動として認められてきたが、今回テロ集団として指定され、非合法化されることで、それが不可能となる。2つめは、イスラエル政府によるガザ爆撃、西岸地区の新入植地建設の告示、および西岸の分離壁を事実上国境にしてしまうそれに伴う動きである。これによってパレスチナ問題がすこぶる緊張を深めている。3つめは、米国のイラク軍への無人監視機と空対地ミサイルの供与である。同政策は米国の首尾一貫性を疑わしめ、米国のシリアからのデタッチメントとどう整合するのか、イラクとシャーム(大シリア)をイスラム化しようとしている集団がシリア内戦で優勢であることもからんで、大きな問題となろう。


(3)政策委員間の意見交換
  このあと、出席政策委員間で意見交換が行われたが、特に注目すべき発言をトピック別に整理すると、以下のとおり。

(文責、在事務局)