外交円卓懇談会

第148回外交円卓懇談会
「一帯一路構想の現状と将来の展望」メモ
賈 晋京(JIA Jinjing)中国人民大学重陽金融研究院院長補佐

2018年10月25日
公益財団法人日本国際フォーラム
グローバル・フォーラム
東アジア共同体評議会
事務局

 日本国際フォーラム等3団体の共催する第148回外交円卓懇談会は、賈晋京中国人民大学重陽金融研究院院長補佐を講師に迎え、「一帯一路構想の現状と将来の展望」と題して、下記1.~5.の要領で開催されたところ、その冒頭講話の概要は下記6.のとおりであった。

1.日 時:2018年10月25日(水)15:00~16:30
2.場 所:日本国際フォーラム会議室
3.テーマ:「一帯一路構想の現状と将来の展望」
4.報告者:賈 晋京(JIA Jinjing)中国人民大学重陽金融研究院院長補佐
5.出席者:20名
6.講師講話概要
 賈晋京中国人民大学重陽金融研究院所長の講話の概要は次の通り。その後、出席者との間で活発な質疑応答が行われたが、議論についてはオフレコを前提としている当懇談会の性格上、これ以上の詳細は割愛する。

(1)伝統的産業から新しい産業への転換

 10年前の世界の社会状況を振り返ると、現在とは全く異なることに気づく。10年前との違いで象徴的なものが、スマートフォンの普及である。スマートフォンは、ちょうど10年前ごろから市場に出回るようになり、2008年にiPhoneが発売されて世界大に拡大した。そして今では、インターネットおよびスマーフォンによって、生活が一変している。10年前の当時、世界から、中国ではスマートフォンが普及しないだろうとみられていた。当時中国は急速に発展していたとはいえ、まだまだ貧しかったからである。しかしながら10年がたった現在、中国国内のインターネット普及率およびスマートフォンの普及率は急速に増大し、中国の社会消費の15%以上をインターネット関連が占めるようになっている。また、中国国内のスマートフォンの機種別シェアをみると、上位1~4位は中国企業の製品が占めている。このことは、中国国内において、急速にインターネット、スマートフォンという新しい産業が発展しているということをあらわしている。実際現在の中国では、スマートフォンに限らず、伝統的産業から新しい産業への転換が行われており、その切り替わりのスピードも速い。中国の経済成長率はいまだに6%を超える高い水準にあるが、それにはこうした新旧産業の切り替えの速さが影響しているとみられる。

(2)「一帯一路」構想の現状と将来の展望

 他方で、未だに世界の60%はインターネットに繋がっていない。インターネットのインフラ構築は新しい市場であり、中国による世界的インフラ投資における重要な側面である。ただし市場は、地域や分野によって状況が異なり、実際インターネット産業がすぐに発展する市場もあればそうでない市場もあるだろう。こうした中で、中国が2013年より打ち出している「一帯一路」構想は、それら市場同士を連結させようとする試みである。世界の状況、産業構造は大きく変化している。10年前に戻ることはもはやできないのであり、新しい経済ストラクチャーが必要なのである。それを満たそうとしているのが「一帯一路」構想なのである。

 では次に「一帯一路」構想の特徴および展望について、次の2点について述べたい。
 まず、同構想に参入できる企業の枠が大きいことである。中国では、主に国有による大企業だけでなく、主に民間による中小企業も発展している。そしてその関係は、他の国のように中小企業が大企業にサプライする関係ではなく、ある程度の棲み分けが成り立っている。そのため、「一帯一路」構想における経済活動において、大企業よりもむしろ中小企業が相当程度参入している。そのため「一帯一路」構想は、大中小企業による新しいネットワーク市場を構築し、それを世界大に拡大していく可能性をもっているといえよう。
 二つ目はその市場の規模である。現在中国は、世界128カ国の最大の貿易パートナーである。そのため中国と貿易すること、「一帯一路」構想に加わることは、世界の国々と貿易を拡大していくことになるのである。実際「一帯一路」構想は、中国市場と欧米市場を連結しようとしおり、今後の拡大が予想される。
 日本からは、すでに「一帯一路」構想に部分的に協力することが示されているが、今後それを実現させることを期待している。日本の産業は中国と補完的関係にあり、「一帯一路」構想への参入は、日本にとって利益をあげ、日本経済の復活に役立つだろう。

(文責在事務局)