第26提言「新しい脅威と日本の安全保障」最終案採択さる
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| 最終案審議を行う政策委員たち |
第26政策提言「新しい脅威と日本の安全保障」に関する第4回(最終回)政策委員会が5月31日に当フォーラム会議室で開催された。
当日は佐瀬昌盛タスクフォース主査のほか、伊藤憲一政策委員長、有馬龍夫、今井隆吉、今川幸雄、大木浩、柿澤弘治、木下博夫、高橋一生、永野茂門、橋本宏、眞野輝彦、吉冨勝など20名の政策委員が出席した。
まず佐瀬主査から、政策提言最終案の内容につき、「現在の日本は北朝鮮などの『更新』された伝統的な脅威と国際テロなどの非伝統的な『新顔』の脅威の2種の『新しい脅威』に直面している。ポスト9・11においては『テロ対策特措法』『イラク復興支援特措法』『新防衛大綱』などが整備されたが、より抜本的、柔軟な対策が必要だ」との基調報告が行われた。
その後の政策委員間の審議では、「北朝鮮などの『新しい脅威』に直面する日本は、その情報収集・分析機能を抜本的に強化する必要がある。そのためには、収集活動という『攻め』の場面と平行して、秘密保護法の制定といった『守り』の対策も重要だ」「失敗国家対策ではNGOの果たす役割も無視できない。しかし、NGOは政府から独立した存在であり、その独立性を尊重しながら、どのように連携を強化することができるか、要検討課題だ」「2004年12月に発表された『新防衛大綱』では、自衛隊の『海外任務』は自衛隊法の『雑則』から『主たる任務』に移すべしとの方向性が打ち出された。これに伴い、その予算も現在のようにその時々の予備費から支出するのではなく、今後はベースの予算に計上すべきだ」「国会答弁等における『専守防衛』論は、自衛のための敵地攻撃の必要性を否定はしていないが、そのために必要な攻撃的兵器の保持を認めていない。このため、日本は敵地攻撃を行うことはもちろん、それによる抑止力の保持も否定されている。それが問題なのだ」などの白熱した議論がなされた。
議論一巡のあと、政策提言最終案は、この日の審議内容を反映して修正することを条件に、採択された。政策提言は、賛成政策委員の連名で8月にも小泉純一郎首相に提出される予定。
拡大緊急提言委員会開催
「韓国・中国における反日騒動の拡大と日本の対応」に関して

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白熱した議論を交わす
拡大緊急提言委員会出席者たち |
「韓国・中国における反日騒動の拡大と日本の対応」に関する拡大緊急提言委員会が、4月25日に当フォーラム会議室で緊急開催された。
当日の会合は、緊急提言委員会(田久保忠衛委員長)が主催したが、多数の政策委員会委員も参加し、3月韓国、4月中国と広がった反日騒動について、活発な意見交換が行われた。
まず小此木政夫慶應大学教授から「韓国の反日騒動は、中国の反日デモと比べると圧倒的に規模が小さいだけでなく、自由民主主義体制下の動きであり、中国の反日デモと同一視すべきではない」との指摘がなされた。このあと、参加者からは、中国の反日デモに日本としてどのように対応すべきかにつき、活発な議論が交わされたが、今回の会合で直ちにアピール文案について合意することは無理との判断から、さらに議論を尽くすこととなった。
第27政策提言「国際エネルギー安全保障体制の構築」スタート

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| 第1回政策委員会の審議のもよう |
当フォーラムは、その第27番目の政策提言として「国際エネルギー安全保障体制の構築」を取り上げることとなり、その第1回政策委員会がさる5月11日に海運クラブで開催された。
当日は、伊藤憲一政策委員長の司会のもとで、まずタスクフォース主査の内藤正久政策委員より「9・11テロ以降のパラダイムシフトにより、エネルギー政策には安全保障という新たな視点が加わったが、日本のエネルギー政策はグランド・デザインの欠如という大問題を抱えており、国家総合戦略をたてる必要がある」との基調報告がなされ、十市勉、田辺靖雄、小山堅、永原伸の4タスクフォース・メンバーより補足説明がなされた。
その後、秋元勇巳、秋山昌廣、大木浩、木下博生、黒田眞、近藤鉄雄、田久保忠衛、田中靖政、中谷和弘、永野茂門、グレン・フクシマ、松本健一、吉田春樹、吉富勝など31名の政策委員から「エネルギー問題は国家戦略であり、基調報告の問題意識の大筋については同感」「戦略性、優先課題をはっきりさせるべき」「産油国のみに注目するのではなく、中国、インドなどの消費国の動向にも注目すべき」「パイプラインと海上輸送の役割分担の議論が必要」「原子力の役割についても記述が必要」「石油コモディティ論の後退と9・11の関係を述べるべき」などの活発な質問・意見が述べられた。
「東アジア共同体」国際作業部会
当フォーラムが主催
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| 活発に議論する各国専門家 |
「ASEAN+日中韓」首脳会議の傘の下に「東アジア・シンクタンク・ネットワーク(NEAT)」が設立されて、3年目となり、その第3回年次総会が8月に東京で開催される。その年次総会に報告書を提出する6つの作業部会(WG)の1つである「東アジア共同体構築の全体構造」作業部会が、当フォーラムの主催で、さる3月23、24日に東京で開催された。
23日の開幕夕食会では伊藤憲一当フォーラム理事長が歓迎の挨拶をしたが、このWGは「東アジア共同体」構築の理念と道筋を提言しようとする野心的なものであり、ASEAN+3すべての国から専門家が参加した。24日の本会議では、田中明彦、石垣泰司、福島安紀子、田所昌幸、浦田秀次郎の日本側5専門家が終始議論をリードした。本WGの報告書は、8月のNEAT東京総会で採択の後、「東アジア・サミット」に提出される予定。
当フォーラムは、グローバル・フォーラム、東アジア共同体評議会との共催で、または単独で随時「外交円卓懇談会」を開催しているが、最近の開催成果は、つぎのとおりであった。
■第8回外交円卓懇談会
3月9日、ヤン・ヴィンクレル・チェコ第1外務次官は、「新しい欧州とプーチンのロシア」と題し、当方出席者14名と懇談し、「ロシアの完全な民主化まではあと一世代ほどの時間が必要だ。現在のロシアは冷戦期のような軍事的脅威としては存在していない。今後は拡大EU・拡大NATOのメンバー諸国が、OSCE等の国際的枠組みを通してロシアとの協調関係を構築していくことが重要」などと語った。
■第9回外交円卓懇談会
3月29日、ノーバート・ジュスタン国際科学技術センター(ISTC)事務局長をゲスト・スピーカーに迎えて、ISTCの達成成果や課題について、話を聞いた。ISTCは、旧ソ連諸国で大量破壊兵器の研究開発に従事してきた研究者や技術者を平和目的の仕事に転換させることを目的として、1992年に日米欧露等各国の合意により設立された国際機関で、ジュスタン氏はベルギー人。「ロシア・CIS軍事科学者の平和産業への転換―日・米・EUの貢献」と題する報告に当方出席者7名が耳を傾けた。
■第10回外交円卓懇談会
5月25日、当方10名の出席者は、シオン・エヴロニー・イスラエル外務省総合政策局長より「拡大中東における民主主義の課題」と題し、「中東和平と中東民主化は別個の問題であり、区別する必要がある。どちらかが欠けても、他は成立する。自分はどちらの問題についても、cautious
optimism の立場をとる。米国は拡大中東民主化の戦略をもっているが、民主化自体に二律背反のジレンマがある」との報告を聴き、そのあと活発な意見交換の機会をもった。
二つのアメリカの「文化闘争」
政策委員 野田宣雄
旧聞もいいところだが、昨年の米大統領選挙の折、テレビ報道はブッシュの再選を喜ぶ全米各地の有権者の姿を映し出した。そのなかには、私たちが抱くアメリカ人のイメージとは少し違うタイプの人々が多かった。とくに中西部や南部では、いかにも純朴で古風な感じのするキリスト教の群衆が、ブッシュの勝利に沸いていた。
これまで私たちは、主にニューヨークやロサンゼルスなどの大都市圏を基準に、アメリカ人のイメージを形づくってきた。だから、リベラルで開放的で先端的というのが、わが国でのアメリカ人の通り相場であった。性道徳や家庭観にかんしても、アメリカ人全体が自由奔放であるかのような思い込みがあった。
だが、現実のアメリカには、大都市圏の自由で世俗的な世界とは別に、保守的で宗教色の濃いもう一つの世界が存在する。後者では、しばしば聖職者が大きな影響力をふるい、昨年の大統領選挙でも、彼らが妊娠中絶や同性婚などをはげしく攻撃しながら、信徒たちをブッシュの支持へ導いた。
あるドイツ人ジャーナリストは、昨年の米大統領選挙を評して、「モダン」と「伝統」という二つの世界の間の「文化闘争」であったと述べる。そして、ブッシュの当選は「モダン」にたいする「伝統」の勝利だと解釈する。
これを私なりに敷衍すれば、いまや米国では、自由で世俗的な「モダン」文化に対して、保守的で宗教的な「伝統」文化の反撃が始まっている。そして、この反撃の目的は、「モダン」文化によって破壊されたモラルや秩序の再建にある。
ひるがえって日本は、長らく米国への大きな誤解の上に、かの国の「モダン」文化だけを熱心に輸入してきた。その結果、大都市圏の「モダン」文化のみが肥大化し、それに対抗する「伝統」文化は衰退した。したがって、米国のような「伝統」文化の側からの反撃も、モラルや秩序の再建の試みも、わが国では起こりそうにない。
こうした日米間の差異が両国の将来にたいしてもつ意味は、けっして小さくない。少なくとも、米国が秘める文化の復元力を侮ってはなるまい。
(京都大学名誉教授)
第28提言テーマ決定さる
「変容するアジアの中での対中関係」
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| 新テーマを審議する猪口副委員長(中央) |
さる5月27日、第31回運営委員会が開催され、猪口邦子副委員長のほか、伊藤憲一、甲斐紀武、田久保忠衛、袴田茂樹、吉田春樹の5運営委員が出席した。
まず、新しい「有識者政策委員」として石垣泰司、岩間陽子、折田正樹、星野俊也の4会員を理事長に推挙する(理事長は理事会に承認を求める)ことで意見が一致した。
ついで、第26政策提言「新しい脅威と日本の安全保障」(佐瀬昌盛主査)の後継提言テーマの審議に入り、全政策委員からのアンケート結果を踏まえて、「変容するアジアの中での対中関係」を採択することが合意された。この運営委員会採択テーマ案は、5月31日の政策委員会で承認され、正式に決定した。なお、タスクフォース主査には小島朋之政策委員(慶応大学教授)が就任した。
監事監査実施さる
さる5月10日、市川伊三夫、白石勝両監事による当フォーラムの「2004年度収支決算書」案の監査が行われた。
これに先立って、石割公認会計士事務所より「収支決算書案は適正」とする監査報告書が提出され、両監事は同報告書の内容を踏まえて、証拠書類等につきさらに精査を行ったが、とくに問題となる箇所はなく、「適正」との最終判断が示された。
■新規入会会員の紹介
(4〜5月分、入会順)
国際政経懇話会:原口前国連大使を迎えて
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| 講話を行う原口前国連大使 |
172回目となる「国際政経懇話会」(朝食会)の5月例会が、5月27日、東京全日空ホテルで開催された。講師は原口幸市前国連大使。
「正念場を迎えた安保理改革と日本の展望」と題した講話では、日本の国連安保理常任理事国入りの展望・戦略について、中国、米国、ロシアの姿勢が後ろ向きな中で、ドイツ、インド、ブラジルとG4を結成して、9月14−16日の国連特別首脳会合での決着をめざして、各国の支持取付けに全力を挙げている状況につき、生々しい裏話を含めて、最新状況の解説を伺った。
講話の後には、いつものように金森久雄、大河原良雄、伊藤義郎、歌田勝弘、大宅映子、田久保忠衛、服部靖夫、グレン・フクシマ、茂木賢三郎、森本敏、山澤逸平、伊藤憲一など22名の出席者との間でオフレコ・ベースの率直な懇談が行われた。
「安全保障分野における知的交流」
研究報告会開催さる
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報告会に臨む岩間、佐島、福島、星野
各メンバー(右から) |
当フォーラムが進めてきた研究プロジェクト「安全保障分野における知的交流」の研究成果を報告する報告会が、さる3月31日に当フォーラム会議室で開催された。
すなわち、本年1月より約3ヶ月間にわたり欧州各国を歴訪し、欧州側の安全保障分野専門家たちから見解聴取を続けてきた福島安紀子総合研究開発機構主席研究員、佐島直子専修大学経済学部助教授、星野俊也大阪大学大学院国際公共政策研究科教授、岩間陽子政策研究大学院大学助教授(いずれも当フォーラム会員)の4名から、その研究成果が報告されたもの。
当日は、当フォーラム会員の伊藤憲一、甲斐紀武、木村崇之、坂本正弘、田島高志、橋本宏など16名に加え、外務省からも井芹嘉宏欧州局政策課課長補佐など3名がゲストとして招かれ、出席した。なお、この報告内容は、当フォーラム「研究会報告」シリーズ第41号『安全保障分野における知的交流』に収録された。
まず、福島メンバーより「NATO・EU拡大を背景として欧州統合は発展しており、安全保障分野に関しては『人間の安全保障』『テロ対策』などの非伝統的安全保障をとおした協力関係の構築に重点が移りつつある」、ついで佐島メンバーより「NATOやEUについて、イギリスの安全保障専門家は『民主的価値共同体』として拡大を続けていくと言うが、イタリア等他のメンバー国の専門家はEUの安保政策の共通化は困難だと言い、温度差がある」、星野メンバーより「『民主的安全保障共同体』の理念は、元来欧州評議会(CE)が主張したもの。現在EUにくらべCEの影が薄いのは『自らの成功の犠牲』である」、岩間メンバーより「NATOの集団的自衛組織という性質は変化している。現在はポスト・コンフリクト地域の秩序安定化や米国との信頼醸成機構としての役割を果たしている」などの報告がそれぞれなされた。
フォーラム活動日誌(3月−5月)
| 3月9日 |
第8回外交円卓懇談会 (Jan Winkler氏他14名) |
| 3月18日 |
第170回国際政経懇話会 (佐藤重和外務省経済協力局長他19名) |
| 3月29日 |
第9回外交円卓懇談会 (Norbert Jousten氏他8名) |
| 3月31日 |
「安全保障分野における知的交流」研究報告会(福島安紀子氏他21名) |
| 4月23-24日 |
NEAT作業部会「Overall Architecture of Community Building in East Asia」国際会合(田中明彦氏他21名) |
| 4月25日 |
「韓国・中国における反日騒動の拡大と日本の対応」に関する拡大緊急提言委員会(田久保忠衛氏他23名) |
| 4月26日 |
第171回国際政経懇話会 (莫邦富氏他23名) |
| 5月10日 |
市川伊三夫、白石勝両監事による決算監査 |
| 5月11日 |
第27提言第1回政策委員会 (内藤正久主査他29名)
第27提言第2回タスクフォース会合 (内藤主査他9名) |
| 5月25日 |
第10回外交円卓懇談会 (Zion Evronyイスラエル外務省政策企画局長他12名) |
| 5月27日 |
第172回国際政経懇話会 (原口幸市元国連大使他21名)
第31回運営委員会(猪口邦子運営副委員長他5名) |
| 5月31日 |
第26提言第4回政策委員会(佐瀬昌盛主査他19名)
第26提言第5回タスクフォース会合(佐瀬主査他8名) |
| [注] |
第26提言「新しい脅威と日本の安全保障」(佐瀬主査)
第27提言「国際エネルギー安全保障体制の構築」(内藤主査) |
事務局だより
5月10日に野呂尚子事務局員補が着任しました。ジョージ・ワシントン大学大学院で修士号を取得後、ワシントンの戦略国際問題研究所(CSIS)でインターンをしてからの帰国で、期待される戦力です。他方、このところ多忙を極める事務局にとって、頼もしい助っ人といえば、学生インターンたちの活躍ぶりも無視できません。
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