研究センター便り

「ウクライナ危機と日本の地球儀俯瞰外交」研究会
概要

公益財団法人 日本国際フォーラム

 本研究会は2015年4月に、下記の主査・メンバーおよび目的のもと、当フォーラム内に組織された2年度にわたるプロジェクトである。定例の研究会合に加え、海外調査や国内外のしかるべき有識者および各種共催機関と意見交換等を行い、それらの成果を2017年3月に政策提言としてとりまとめ発表するものである。

【主査】六鹿 茂夫日本国際フォーラム上席研究員/静岡県立大学教授
【メンバー】伊藤  剛日本国際フォーラム上席研究員/明治大学教授
斎藤 元秀日本国際フォーラム上席研究員/中央大学政策文化総合研究所客員研究員
末澤 恵美平成国際大学准教授
濱本 良一国際教養大学教授

(名字五十音順)

六鹿茂夫主査

【目  的】

 本研究会の目的は、現在、国際社会に深刻な影響を及ぼしているウクライナ危機をめぐる国際関係を、欧州からアジア太平洋へと至るグローバルな枠組みにおいて分析し、その分析をもとに日本が採るべき外交・安全保障政策を提言することで、日本の地球儀俯瞰外交および積極的平和主義の具現化に寄与することである。そのために、まずはウクライナ危機をめぐる国際関係の分析が本事業の主要課題となるが、その際、以下の3点に留意して分析を進める。第1は、分析の範囲として、欧州~ユーラシア~アジア太平洋というグローバルな地理的空間を対象とし、その際、地域機構の役割や諸機構間の関係にも目を向けることである。ここでいう地域機構には、黒海経済協力機構(BSEC)、GUAM(グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドヴァからなる国際機構)、ヴィシェグラード4、上海協力機構(SCO)、ASEANなどが含まれる。第2は、分析の切り口として、地政学、領土問題、ディアスポラ、民族主義、価値と権威主義体制、エネルギー安全保障、経済制裁、軍事力、「ハイブリッド戦争」、イスラム国のウクライナ危機への影響など、本事業のテーマに密接に関連するイシューを包括的に組み入れることである。第3は、分析の単位として、下位国家、国家、トランスナショナル、地域、グローバルの5次元に及ぶ分析を行うこととし、これらが相互に織りなす複雑な関係をも射程に入れると共に、EUと中国・韓国との関係やアジア欧州会合(ASEM)など、欧州とアジアの相互連関性にも注目することである。

 このような分析を通じて、ウクライナ危機の本質を正確に理解し、同危機をめぐって国家や非国家アクターがグローバルな空間で展開する複雑な関係を的確にとらえることができるわけであるが、より具体的には、さしあたり以下の6つの問いを立て、その答えを明らかにすることとしたい。

(イ)ウクライナ危機とは何か、同危機はなぜ生じたのか。
(ロ)国際社会、主要国、非国家アクターはウクライナ危機にどう対処してきたのか。
(ハ)アジア太平洋諸国にとってウクライナ危機とは何か、同諸国は危機をどうとらえ、どう分析し、如何に対処してきたのか。とりわけ、日本の安全保障政策と密接な関係にある米国、中国、ロシア、韓国、ベトナム、フィリピン、ASEAN、オーストラリアの動向は如何なるものか。

国際シンポジウム『日・アジア太平洋対話』のようす

(ニ)ウクライナ危機によって、欧州国際秩序や欧州安全保障体制およびユーラシア国際秩序はどう変容していくのか。
(ホ)ウクライナ危機はアジア太平洋地域の国際関係に如何なる影響を及ぼしてきたのか、また同危機によってアジア太平洋地域の国際関係はどう変容していくのか。
(ヘ)欧州とアジア太平洋地域の間にウクライナ危機をめぐる具体的な連動性、協力関係、対立関係は存在するのか、あるとすればそれはどういったものか。