国際シンポジウム

2017年1月6日

「トランプ・安倍両政権下での米日関係の展望」メモ

公益財団法人 日本国際フォーラム事務局

 平成28年度「積極的平和主義の時代の日米同盟」研究会の国際シンポジウム「トランプ・安倍両政権下での米日関係の展望」が、下記1.~3.の日時、場所、パネリストにて開催されたところ、その議論の概要は下記4.のとおり。

1.日時:2017年1月6日(金)午前10時~午後12時
2.場所:米国ワシントン、ジョンズ・ホプキンス大学ポール・H・ニッツェ高等国際関係大学院(SAIS)
3.パネリスト

【日本側】神谷 万丈防衛大学校教授/日本国際フォーラム理事・上席研究員
加藤 洋一日本再建イニシアティブ研究主幹
高原 明生東京大学教授/日本国際フォーラム上席研究員
細谷 雄一慶応義塾大学教授
【米国側】ジェームズ・プリスタップ米国防大学国家戦略研究所上席研究員(司会進行)
ラスト・デミング元国務省首席次官補代理・日本部長
ロバート・マニング米大西洋協議会ブレント・スコウクロフト国際安全保障研究センター上級研究員
ジェームズ・ショフカーネギー国際平和財団上級研究員
ニコラス・セーチェーニ米戦略国際問題研究所日本部副部長・主任研究員

国際シンポジウム「トランプ・安倍両政権下での米日関係の展望」

4.議論の概要

 セッションⅠおよびセッションⅡそれぞれにおいて、冒頭、プリスタップ米国側主査から各パネリストの紹介が、次に各パネリストからの報告が、続いてパネリストと一般出席者の間で自由討議が行われたところ、各パネリストの報告の概要は以下のとおり。

 セッションⅠでは、日米同盟が直面している課題をテーマに、まずセーチェーニ・メンバーから「中国と北朝鮮によってアジアの安全保障環境が厳しさを増す中で、日本は経済改革、安全保障政策の改革、米との協働を中心としたネットワークをとおして印豪などとの協力を深化させており、トランプ政権が学ぶところも多い」との報告が、次にマニング・メンバーから「日米同盟はこれまでになく深化しているが、同盟を囲む国際社会の安全保障環境は、その厳しさを増している。反グローバル化あるいは第三のグローバル化ともいうべきトレンドとして、国際社会は分極化が進んでおり、異なる世界観をもつ地域ないし国の間で競合が激化しているのである」との報告が、続いて高原メンバーから「トランプ政権が日米同盟を核とする「ルール基盤の国際秩序」を維持する姿勢を示すことは、アジアの全ての国が望むことであり、翻って米国の国益にもつながる」との報告が、最後に加藤メンバーから「地域安全保障の環境、米中間の不信日米間の中露「脅威」の認識ギャップから、日本の取りうる安全保障戦略としては、米国への依存、米国以外の同盟国/パートナー国との協力、独自の軍事力の確保、そして中国への追随が挙げられる」との報告がそれぞれなされた。

 セッションⅡでは、同盟が取るべき今後のステップをテーマに、まずデミング・メンバーより「安倍政権の下、日本の安全保障は大きな改革を遂げ、日米同盟も強化されてきた。今後の日米同盟の課題は、日米両国が対中政策をいかに調整していくかである。トランプ大統領が、『一つの中国』の原則をふくむ米中関係の歴史・複雑性・機微を理解し、ヘッジと関与を織り交ぜた対中政策を展開していくことが重要である。日本がトランプ政権に対して遠慮することなく、日米関係をリードしていくことを期待する。」との報告が、次にショフ・メンバーより「日米は、同盟に費やすそれぞれのリソースの評価、両国の事務次官レベルでの協議、そしてそこで明らかにされたビジョンと現状のギャップを埋める行動計画の作成といったプロセスを通して、協力を進める必要がある。特に対中政策において、日米は共通の認識に基づいて、相互に補完的なアプローチをとらなければならない」との報告が、続いて神谷プロジェクト・リーダー/日本側主査より「特にトランプ政権時代において、両国の同盟の強化こそ、両国がともに偉大な国として国際社会のリーダーであるために、そして既存の国際秩序を維持するために重要である。トランプ政権は前政権に引き続きアジア太平洋地域へのコミットメントを継続し、日本はそのために必要な支援を提供するべきである」との報告が、最後に細谷メンバーより「トランプ大統領の登場をはじめ、中国の経済成長の鈍化、韓国の政情不安、フィリピンの対中接近など、ゲームチェンジャー的要因が多数ある中で、長期安定政権化している安倍政権の安全保障戦略としては、米国以外の同志国(豪、フィリピン、ベトナム、インドネシア)との協力、中国と韓国との協力、あるいは独立した安全保障の追求といった選択肢が考えられるが、最も現実的な政策は、日米同盟の継続と強化である」との報告がそれぞれなされた。

 

(文責在事務局)