外交円卓懇談会

第141回外交円卓懇談会
「中国が志向する国際秩序:その本質と影響」(メモ)
ミラ・ラップ=フーパー(Mira RAPP-HOOPER)イェール大学法科大学院上級研究員

2018年2月26日
公益財団法人日本国際フォーラム
グローバル・フォーラム
東アジア共同体評議会
事務局

 日本国際フォーラム等3団体の共催する第141回外交円卓懇談会は、ミラ・ラップ=フーパー(Mira RAPP-HOOPER)イェール大学法科大学院上級研究員を講師に迎え、「中国が志向する国際秩序:その本質と影響」と題して、下記1.~5.の要領で開催されたところ、その冒頭講話の概要は下記6.のとおりであった。

1.日 時:2018年2月26日(月)15:00~16:30
2.場 所:日本国際フォーラム会議室
3.テーマ:「中国が志向する国際秩序:その本質と影響」
4.報告者:ミラ・ラップ=フーパー(Mira RAPP-HOOPER)イェール大学法科大学院上級研究員
5.出席者:18名
6.講師講話概要
 ミラ・ラップ-フーパー・イェール大学法科大学院上級研究員の講話の概要は次の通り。その後、出席者との間で活発な質疑応答が行われたが、議論についてはオフレコを前提としている当懇談会の性格上、これ以上の詳細は割愛する。

(1)国際秩序とは
 国際秩序は、国家間同士の間で、望ましいとする状況やルールが共有され、それをもとにした枠組み構築がなされていることによって成り立っている。そのため時間がたつにつれて、その状況やルールを共有できない勢力が、力を背景にした戦争と暴力によって既存の国際秩序を崩壊させ、新しい秩序を生み出そうとする。現在の中国は、まさにそうした存在ではないだろうか。
 現在のリベラルな国際秩序は、ウイルソン主義を含む西側の思想をもとに、自由民主主義を中心にそえて発展してきた。この秩序は、米国および国連が中心となり、核不拡散体制などのシステムによって構築されており、第二次世界大戦および冷戦を経て強化されてきた。

(2)国際秩序に対する中国の挑戦
 中国は一方では、国連平和維持軍への参加および国連分担金の支払いを増大させ、さらに気候変動への取り組みも強化するなど、こうした既存の体制や規範に直接的な反対姿勢をみせてはいない。しかしその一方で、経済においては、BRICS銀行、AIIB、一帯一路戦略など打ち出し、自国が秩序の創設者となろうとしている。もちろんインフラ投資は重要であるため、日米がこうした動きに対してゼロサムゲームの発想で対処する必要はないだろう。ただし日米は、これらの銀行による融資や支援がバラマキではなく、高いスタンダードで行われ、また一帯一路戦略によって軍事的な拡大をさせないための圧力をかけていかねばならないだろう。地域の安全保障においては、南シナ海をめぐる動きなど、中国の動きは経済よりもさらに脅威となっている。日米は、中国に対する認識を共有し、より密接な協力関係を築かねばならない。北朝鮮に対する中国の対応も、結局のところ大きな変化は期待できないだろう。

(3)新領域における中国の秩序構成
 中国は、これまで政府間の取り決めが不足していた領域において、その勢力の拡大に努めている。特にサイバー空間ではそれが顕著である。中国は、国家と個人、軍事と民間の区別をあいまいにし、いわゆる「サイバー主権」を提唱してこれまでの国家主権をサイバー空間でも適用させるよう企てているところである。日米は、サイバー空間をはじめとするこうした中国の企てに対して、早急に国際社会における規範とルールを構築できるよう協力していかなければならないだろう。

(文責在事務局)