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「米中貿易戦争」深刻化の様相   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳) [投稿履歴]
投稿日時:2018-04-03 05:44 [修正][削除]
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No.4123
 民放などで極東情勢からの「日本置き去り論」が目立つが、相変わらず浅薄だ。トランプが韓国の特使の進言を受けて米朝会談に乗り気になった結果がその理由のようだが、極東安保が日本抜きに語られることはあり得ない。17日からの日米首脳会談で安倍が極東安保の実情を説明すればトランプには分かる事だ。それよりも極東における「米中貿易戦争」の様相がここにきて一段と濃厚になってきたことを注視する必要がある。かねてから首相安倍晋三は北朝鮮への対応について、「過去の教訓を踏まえると、対話のための対話では意味がない。北朝鮮に完全、検証可能かつ不可逆的な方法で、核・ミサイルの廃棄にコミットさせ、それに向けた具体的な行動を取らせるため最大限の圧力を維持していかなければならない」と述べている。極東情勢をどこまで深く認識しているか疑わしいトランプも、この安倍理論には同調するだろう。安倍は日本としては譲れないコアの部分をトランプに吹き込んでおく必要がある。なぜならトランプは金正恩が核弾頭搭載のICBMを放棄するだけで「米国に届く核兵器はない」と納得する可能性があるからだ。

 これは、日本にとっては最悪のシナリオである。なぜなら日本の米軍基地や東京など大都会を狙う中距離核ミサイルがそのまま放置されれば、日本は常時北のどう喝を受け続けることになるからだ。これは紛れもなく日本に核武装論を台頭させる要因である。日本が核武装をすれば極東安全保障のバランスを一気に崩壊させ、情勢は今まで以上に緊迫と流動性を帯びる。その懸念は世界の常識になりつつあり韓国の中央日報紙などは社説で「日本再武装論が台頭している」「中国が北を放置すれば重武装の日本が登場し、中国が代償を払うことになる」と核武装の可能性を強調している。米国のウォール・ストリート・ジャーナル紙は、既に北朝鮮が発射した中距離弾道ミサイル「火星12」が北海道上空を通過した後の社説で「日本の核武装に道開く北朝鮮の核容認」との題して「この中距離ミサイル発射実験は、北東アジアの安全保障をめぐる政治を一段と混乱させるだろう。そして、日本に自前の核抑止力を持つことを改めて促すものだ」と分析している。要するに日本抜きの極東安保は成り立たないということなのである。米朝や米中だけで極東安保を語るべきではないのだ。加えて北の核施設やミサイル発射の動きは低調にはなっているが、北が完全に核やミサイル放棄に方針転換したとみるのは言うまでもなく早計である。1980年代から北は核・ミサイルへの実験を繰り返してきており、完成がすぐそこにあるのに、放棄するわけがないのである。金正恩のレゾンデートルは核とミサイルしかないのであって、手放せばただの太った政治家になるだけだ。
 
 今後、外交日程は極東情勢を軸に硬軟両様の展開を見せる。4月17日から二日間はフロリダで日米首脳会談。同月27日に南北首脳会談。5月前半に日中首脳会談、同月末までに米朝首脳会談という段取りだ。日本の出番はありすぎるほどあるのだ。一連の会談を通じて安倍が果たす役割は大きい。日米首脳会談ではその後の一連の首脳会談対策が話し合われる。対北、対中戦略で重要な骨組みが打ち立てられるだろう。その内容はおそらく、(1)トランプはいかなる情勢下においても北朝鮮の核保有を認めない、(2)核・ミサイルで北の具体的行動がない限り制裁は維持する、(3)米国は最悪の場合の軍事オプションの可能性を維持する、などとなるだろう。こうした日米の動きに対して中国は極めて警戒を強めるだろう。中国の核問題に対する主張はあくまで「朝鮮半島の非核化」である。単に北だけの非核化ではなく、米軍も含めた非核化なのである。中国の戦略にとって北は常に緩衝材なのであり、米軍と国境を接して対峙することは望まないのだ。北と中国は朝鮮戦争を一緒に戦った血の盟約が依然として根底に存在するのであり、地政学上も切っても切れない関係にある。中国は朝鮮半島問題が米国主導で進む事には反対しなければならないと思い込んでいるのだ。中国にとっては朝鮮半島が「不戦不乱」である状態が一番居心地が良いのであって、北の政権を消滅させるような策動にはまず乗らない。
 
 また、米国の輸入制限に対して、中国が報復関税を発動したように、「米中貿易戦争」の色彩が一段と濃くなった。中国は米国が鉄鋼、アルミニウムに高関税を3月23日にかけたことへの対抗措置を2日発表した。ワインなど120項目に15%、豚肉など8項目に25%を上乗せしたのだ。この米中両大国の経済と外交・安保の両面での対立は歴史的必然とも言え、長期化するだろう。就任当初は金正恩に対する嫌がらせで、訪韓を断行したほどの習近平だが、金正恩が訪中して恭順の意を示したことから、相好をくづし方針を一変させた。習近平の前で金正恩が習発言をノートに取るという、“すり寄り”姿勢を取ったことが、大満足であったのだろう。首脳会談は会談の中身もさることながら、相手の態度が決定的な役割を果たす事もある。金正恩の“メモ作戦”は練りに練った作戦なのであろう。こうした北の外交攻勢からみれば、今後北は閉ざされた独裁国家というイメージを払拭するため、主要国との外交チャンネルを活発化させるだろう。日本に対しても大規模な経済協力を期待して大接近してくる可能性が強い。その場合、核放棄が前提になることは言うまでもない。

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